Bank of AmericaのSenior Vice President Tim Golden氏
Bank of AmericaのSenior Vice President Tim Golden氏
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Bank of Americaのオープンソース・ソフトウエア採用履歴(ハードとOS)
Bank of Americaのオープンソース・ソフトウエア採用履歴(ハードとOS)
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Bank of Americaのオープンソース・ソフトウエア採用履歴(アプリケーションとミドルウエア)
Bank of Americaのオープンソース・ソフトウエア採用履歴(アプリケーションとミドルウエア)
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 「Bank of Americaは5500のLinuxイメージ,200以上のオープンソース・ソフトウエア(OSS)コンポーネントを利用している」---Bank of AmericaのSenior Vice PresidentであるTim Golden氏は10月30日,IPAフォーラムの講演で同社のOSS活用状況をこう紹介した。

 Bank of Americaでは,2001年からLinuxの利用を始めた。最初は投資銀行部門で市況データの配信システムなどから利用を始めた。さらにリスク管理のための計算を行うグリッド・システムにも採用,英国,アジア・パシフィック,ラテン・アメリカの支社でも利用を開始した。「Linuxの採用によってTCOを42%削減できた」(Golden氏)という。

 2002年にはLinuxのサポート部門を設置した。2003年から2004年にかけて,コア・イメージと呼ぶLinuxイメージを作った。必要なソフトウエアだけに絞り,275パッケージ以下にスリム化したパッケージだ。これにより,管理コストを削減できたという。

 2005年にはOSSを使いアンチスパム・システムを構築した。「プロプライエタリのソリューションだと200万ドルを要するものが,90万ドルでできた」(Golden氏)。

 2006年には社内にオープンソース・マネジメント・ポータル・サイトを作った。100%OSSで作ったJavaベースのWebアプリだ。このように,管理コストを低減する仕組みを作ることで,2003年には120台に1人の管理者を置いていた,2007年には225台に1人ですむようになった。

 Golden氏は「OSSの品質はプロプライエタリと同じくらい,時にはプロプライエタリより高い」とする。「シンクタンクの予測によれば,2010年までには,OSSとコミュニティ,OSSビジネス・モデルはほぼすべてのISVに採用されるようになる」(Golden氏)。

 反省点としては,コミュニティにもっと早くすべきだったことがあげられるという。「再発明するよりも,聞いいたほうがいい」(Golden氏)。

 そして,OSSの活用を成功させるためのポイントとして,Golden氏は「短時間で多くのことを実現しようとすべきではない。重要なものに集中しなければならない」とアドバイスした。