アレイ・ネットワークスは2007年10月30日,同社のSSL VPN装置「SPX」シリーズにリモート・デスクトップを利用できる機能「DesktopDirect」を追加したと発表した。リモート・デスクトップはWindows XP ProfessionalやVista Bussinessなどに標準で搭載されている機能。デスクトップ画面をクライアント・プログラムをインストールした別のパソコンから利用できる。

 DesktopDirect機能を使う場合は,Webブラウザを使ってSSL VPN装置にアクセス。Webブラウザに表示される接続可能なコンピュータ一覧から目的とするパソコンを選択すると,専用のActiveXコントロールが起動し,社内にあるパソコンの画面を利用できるようになる。

 米シトリックス・システムズなどの競合製品との違いは,リモート・デスクトップを外部に公開する際の設定が容易な点。競合製品の場合,公開するパソコンを管理者が1台ずつ設定していかなければならない。DesktopDirectでは,ユーザーが自分で公開するコンピュータを設定できる。

 公開する際は,社内LANにおいてユーザーがリモート・デスクトップを外部に公開するパソコンのWebブラウザで,管理用サーバーにアクセス。外部アクセス用のユーザー名/パスワードを入力すると,装置側(正確には装置と連携するサーバー)にコンピュータ名が自動で登録される。

 価格は,最も安価な装置を利用した場合,10ユーザー同時アクセス・ライセンスを含んで120万円程度。このほか,既存のSPXシリーズにDesktopDirectのコンポーネントを追加しても利用できる。この場合は,コンポーネントの利用料金のみで,アクセス・ライセンスは従来のSSL VPNのものがそのまま使える。コンポーネントの価格は,最大500ユーザーが同時接続可能なSPX2000の場合で120万円程度だという。

 現在,企業では,コンプライアンスの強化や情報漏えい対策として,ノート・パソコンやデータの持ち出しを社内ポリシーで禁止する動きが強まっている。このため,Webサーバー経由で社内のサーバーやクライアントに格納されたファイルを外部に公開するSSL VPNも禁止する傾向がある。アレイ・ネットワークスの寺前滋人プロダクト・マーケティング部部長は「リモート・デスクトップを使えば,ファイル自体を社内LANから外部に持ち出さず使うことができる。情報漏えいに厳しい日本企業にも受け入れられるのではないか」という。