米Microsoftは10月24日(米国時間),ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「Facebook」を運営する米Facebookに2億4000万ドルを出資すると発表した。Facebookは人気の高いSNSであるが,これまで一度も黒字化したことがない。この出資により,Facebookの評価額が150億ドルという膨大な金額になった。しかし,この取引で最大のニュースは,Microsoftがインターネット検索/広告大手の米Googleを打ち負かし,Facebookに投資するチャンスを獲得したことだ。その結果,MicrosoftはFacebookが全世界で運営するWebサイトに広告を独占供給することになる(関連記事:MicrosoftがFacebookに2億4000万ドル出資へ,広告配信の提携を強化)。

 Facebook最高収益責任者(CRO)のOwen Van Natta氏は「Microsoftとの協力関係を次の段階に進めることを歓迎する」と述べた。「この提携を拡大することで,革新を継続させ,ソーシャル・コンピューティング分野の技術的リーダーおよび主要企業として成長を続けられる。そのうえ,5000万人弱いる当社のアクティブ・ユーザーに対し,文脈型広告を提供できるようになる」(Natta氏)。

 Facebookは,「ほかの学生からアイデアを盗んだ」とうわさされる米ハーバード大学の学生が2004年に開始したSNSだ。Facebookを利用すると,同じ趣味や目的を持つほかのユーザーと仮想環境内で連絡を取り合える。Facebookのプラットフォームは拡張可能であることから,ユーザーがFacebookサイト内で利用可能なアプリケーションを開発し,機能を増やすことができる。SNS最大手の「MySpace」が10代の若者と,1990年代中盤テイストであるHTMLの「BLINK」タグを懐かしむユーザー層から人気を博したのに対し,Facebookは“大人向けMySpace”と広く認知されている。

 Microsoftは,2億4000万ドルでFacebook株式の1.6%を取得する。Facebookはまだ経済的な成功を収めていないが,インターネット業界における新たな人気アイドルであり,近い将来,途方もない利益をもたらすと考えられる。Facebookによると,2007年末には収支が差し引きゼロになるという。プラットフォーム&サービス担当社長のKevin Johnson氏は「この取引の金額面に満足した」としている。