TISは10月26日に臨時説明会を開催し、2007年度(2008年3月期)の業績予想を下方修正したと発表した。連結ベースの売上高は2050億円から2000億円に、営業利益は100億円から80億円、経常利益は108億円から88億円に減少する。

 業績悪化の最大の理由は、同社が「継続中の大型案件」についてシステムテストの追加工程が生じたこと。その結果、2007年度中を目指していた稼働時期が「2008年中になる」(岡本晋社長)とずれこみ、人件費など費用が膨らんだ。

 TISは顧客の名前を明かしていないが、ジェーシービー(JCB)の次期基幹システムと見られる。すでにTISは2006年度決算でシステムテストの追加費用を織り込み、128億円分の引き当て処理をしている。今回の措置はこれに追加された格好で、本社長の説明によれば「テストそのものは予定通り5月から7月の3カ月で順調に終えたが、顧客と協議した結果、9月に“さらなるテストが必要”と判断した」という。この結果、TISは今回だけで80億円以上の追加費用を見込んでいる。

 岡本社長は「この問題はプロジェクト中の手戻りなどとは全く異なる。契約段階で、委託者と受託者との責任分界がいびつだったことが最大の原因」と語る。再三にわたって稼働時期が延びる中で顧客との関係もこじれたものの、「訴訟も辞さず、と腹をくくっていた時期もあるが、先ごろ大手ITベンダーの役員と法律の専門家に仲裁を依頼し、調停に応じることとした」としている。