新たな販売方式の概要
新たな販売方式の概要
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「バリューコース」による費用負担の概念図
「バリューコース」による費用負担の概念図
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NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏
NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏
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 NTTドコモは携帯電話の販売方式を全面的に変更し、新たに分割払いによる購入を可能にする。従来の販売方式では、同一端末を長期間使い続けているユーザーが費用負担面で不利になるという問題があり、この解決を図るもの。2007年の年末商戦向けに発売予定の新機種「FOMA 905iシリーズ」を皮切りに、今後発売となる音声端末に順次適用する。2007年10月26日の中間決算発表の席で明らかにした。

 携帯電話の販売方式の見直しをめぐっては、KDDI(au)も10月4日に新方式を発表している。既に分割払い方式を導入済みのソフトバンクモバイルと合わせ、大手携帯電話事業者3社がすべて新方式に移行することになる。

端末価格は24回払い、月額1680円ずつ割引

 NTTドコモの新たな販売方式は、「バリューコース」と「ベーシックコース」の2種類。バリューコースは、ソフトバンクモバイルの「新スーパーボーナス」と同様の分割払い方式。端末価格を24回の分割払いとし、月々の携帯電話の利用料金とともに支払うもの。その際、従来の料金プランより月額1680円ずつ割り引く。この月々の割引は、分割払い終了後も引き続き適用される。なお、24回払いのほか、12回払いと購入時一括払いを選択することも可能。

 バリューコース適用時の端末価格(24回払いの合計額)は、従来製品の端末価格の相場より高くなる。これは従来、NTTドコモから販売店に対し販売奨励金が支払われ、それを基に店頭価格が引き下げられていたためだ。バリューコースではこの販売奨励金が大幅に削減される見込みで、その分端末価格は上昇することになる。その代わり、分割払いの終了後も1680円の割引は続くため、905i以降の端末を購入し2年以上使い続ければ、月額費用の負担が今よりも軽減されることになる。逆にユーザーが分割払いの完済前に機種変更や解約をする際は、未払い分を一括払いする必要がある。分割払いの単価は、ソフトバンクモバイルと同様に機種ごとに定められた金額となる。

「激変緩和措置を含めれば、従来と同程度の負担」

 また同社では激変緩和措置として、年末商戦では2つのキャンペーンを実施する。年末商戦で905iを購入したユーザーを対象に、購入時に8400円の値引きを行う。また、2008年5月末までにバリューコースを申し込むと、最初の3カ月の月額料金でさらに月額2100円の割引を受けられ、本来の月額1680円と合わせて月額3780円の値引きとなる。「こうしたキャンペーンによる割引分を加味すると、現行の端末購入費用とほぼ同等の負担で905iを購入できる」(NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏)と説明している。

 もう一方のベーシックコースは、「従来の販売方式に比較的近いもの。分割払いを希望しないユーザーなどを想定して設けている」(中村社長)。端末費用は購入時一括払いで、月額料金も従来通り。ただし、2年間の継続利用を条件に、端末価格を1万5750円割り引く。2年以内に解約や機種変更をすると、利用月数に応じた違約金が課せられる。こちらも激変緩和措置を用意しており、年末商戦中に905iを購入すると、店頭価格から8400円の値引きを受けられる。

「頻繁に買い替えるという消費行動、905iで転機になる」

 中村社長は新方式導入の背景として、「携帯電話の市場が拡大し端末の機能も発展を続けていたころと、今の成熟期とでは、事業モデルを転換する必要があると考えている。また、総務省のモバイルビジネス研究会で指摘された、従来の販売方式では長く使うユーザーが損をしていたという点は当社も認めるところだ。これを是正する必要があると考えた」と語る。逆に従来、比較的短期間で買い替えていたユーザーが不利になるのではとの指摘に対しては、「あちらを立てればこちらが立たないという状況がどうしても起こってしまうが、11月1日に発表する905iは、ありとあらゆる機能を実装している。新機能を求めて頻繁に買い替えるという消費行動も、905iで転機になるのでは」(中村社長)との見解を示した。

 2方式のどちらが主流となるのかという点については、「軸足はバリューコース。5割以上がバリューコースを選択すると見込んでいる」(中村社長)とした。なお同社では、今回の新販売方式の導入に関連する一連の施策で、約200億円の営業費用を見込んでいる。