オープンソース・ソフトを開発・提供しているコミュニティGIMP Teamは2007年10月24日,Linuxデスクトップ上で広く利用されている高機能なフォトレタッチ・ソフトの最新版「GIMP 2.4」を公開した(写真1)。GIMP TeamのWebページから,Linuxなどにインストールできるソース・パッケージに加えて,Windows版(写真2)をダウンロードして無償で利用できる。ちなみに,11月にリリース予定のLinuxディストリビューション「Fedora 8」(関連記事)でもGIMP 2.4が標準で搭載される計画。
GIMP 2.4では,アイコンのデザインやウインドウのテーマが大幅に変更された。アイコンはデスクトップ上のアイコンの統一を目指すプロジェクト「Tango Desktop Project」の規定に合わせたデザインになった。
画像上で右クリックして表示されるメニューの構成も変更された。特に,よく利用するカラー・バランスなどといった色関連の機能に関しては,メニュー内に「色」が追加され,関連ツールの選択が容易になった。
さらに,選択範囲や画像の抜き出しの際の範囲を,選択範囲の四隅に配置されたハンドルをマウスで操作することで,従来版より簡単に調整できるようになった。
奥行きを考慮したコピーや赤目補正も自動で可能に
画像内の人物や物体などを抜き出したい場合に役立つのが,新機能の「Foreground Select Tool」だ(写真3)。Foreground Select Toolでは,抜き出したい画像の上をペンでなぞることで,自動的に画像の範囲を設定できる。範囲が適当でない場合は,さらに抜き出したい部分をペンでなぞることで選択範囲を補正できる。
画像の一部をコピーするツール「Perspective Clone」も搭載された。以前のGIMPのバージョンでは「Clone Tool」が搭載されており,Photoshopのスタンプツールのように,指定した位置にある画像をほかの位置にブラシで書きながらコピーできた。今回搭載されたPerspective Cloneでは,画像の傾き加減に応じてオブジェクトをコピーできる。例えば,道路などといった奥行きのある画像上では,遠くに配置するオブジェクトを自動的に小さくコピーできる(写真4)。
このほかにも,デジタル・カメラやプリンタなどの色管理を行い,写真と同等の色合いのプリンタ出力を可能にする「Color Management and Soft-proofing」や,赤目補正が可能な「Red Eye Removal」,カメラのレンズ関連の補正を行える「Lens Distortion」などの新機能が搭載された。