写真●NGN関連のサービスやシステムを展示するショールーム「NOTE」[撮影・柳生貴也]
写真●NGN関連のサービスやシステムを展示するショールーム「NOTE」[撮影・柳生貴也]
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 NTT持ち株会社とNTT東西地域会社は10月25日,NGN(次世代ネットワーク)のフィールド・トライアルの実施報告書を発表した。報告書には,NGNトライアルに参加したベンダーや通信事業者が実証実験で得られた成果や,約500人の一般モニターに対するアンケート調査の結果が盛り込まれている。

 NGNトライアルに参加した企業のうち,18社がNGNショールーム「NOTE」(NGN Open Trial Exhibition,写真)や自社のショールームで,アプリケーション・サービスを検証した。これらの企業は,SNI(application server-network interface)とUNI(user-network interface)の各インタフェースと4段階の品質クラスによる帯域制御を使って,NGNに問題なく接続できることを確認した。

 アプリケーションの動作検証では,「インターネットなどで発生しがちな映像や音声の途切れなどの問題はなかった」「NGNイーサ上でのデータ転送で安定的にスループットを達成することができた」などと,NGN上で問題なく動作したと前向きに評価している。

 その一方で,トライアルを通じて「さらなる信頼性向上のために,二重化構成のSNI接続メニューを提供してほしい」「最新の標準に規定されているメディアを許容してほしい」などと要望する声も上がっている。

 また,NTT以外の通信事業者とインターネット接続事業者(ISP)の計15社が,NNI(network-network interface)を使用したインタラクティブ(ユニキャスト)通信機能とイーサ通信機能,ISP接続についての相互接続を検証したところ,いずれも正常に接続できることを確認した。

地上デジタル放送のIP再送信,電波による送信と同等以上は85%

 今回,約500人の一般モニターが,地上デジタル放送のIP同時再送信やテレビ電話などNGNを利用した家庭向けサービスをひと足先に体験した。

 このうち,一般モニターの77%が地上デジタル放送のIP同時再送信を視聴した。映像と音声についての評価は「非常に良い」が22%,「良い」が47%,「まあ良い」が26%,「悪い」が4%だった。また,電波を使う既存の地上デジタル放送との比較では,「良い」が28%,「同等」が57%,「悪い」は15%だった。商用サービスとして提供された場合の利用意向は,「ぜひ視聴したい」が13%,「視聴したい」が55%,「視聴したくない」が26%,「全く視聴したくない」が6%だった。既存の地上デジタル放送を視聴していたモニターでは,「視聴したくない」と「全く視聴したくない」の割合がさらに大きくなる。

 また,高品質の映像や音声を安定して通信できる品質保証型のサービスが提供された場合に,「品質の良さに見合った料金を払って利用したいか」という問いに対して,モニターの14%が「そう思う」,44%が「どちらかと言えばそう思う」と回答。これに対して,「どちらかと言えばそう思わない」が19%,「そう思わない」が19%だった。

NGNショールームに1万7000人来場

 昨年12月にオープンしたNGNショールーム「NOTE」に9月末までに約1万7000人が来場した。

 NTTは,NOTEの来場者に対してアンケート調査を実施したところ,19%が「非常によく理解できた」,60%が「大体理解できた」と回答した。NGNで実現可能な具体的なサービスを間近に見たことで,NGNへの理解度が高まったことがうかがえる。また,「NGNによって生活やビジネスが変化するか」との問いに対しては,来場者の22%が「非常に変わる」,60%が「変わる」と回答した。

 NOTEで展示されたサービスのうち,使用してみたいサービスについての問いでは,地上デジタル放送のIP同時再送信が41%と最も人気が高かった。次いでハイビジョン映像配信サービス(39%),ひかり認証(26%)の順だった。

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