千葉市の幕張メッセで10月27日から一般向けに公開される「東京モーターショー2007」では,日立製作所がハンドル一体型の指静脈認証装置を参考出展している。

 これは,最近,銀行のATMなどへの設置が増えている指静脈認証装置を,自動車のハンドル部分に取り付けて,ドライバーの認証を行おうとするもの。鍵の代わりに生体情報を使い,自動車の所有者や関係者でなければエンジンを起動できなくすることが可能になるため,防犯対策に高い威力を発揮する(写真1写真2)。

写真1●日立が参考出展している「ハンドル一体型の指静脈認証装置」   写真2●認証装置本体はハンドルの裏側に付けられている
写真1●日立が参考出展している「ハンドル一体型の指静脈認証装置」
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  写真2●認証装置本体はハンドルの裏側に付けられている
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 また最初の本人認証時に,シートやミラーの位置を記録しておけば,認証を行ったドライバーに合わせた車内環境を即座に再現することが可能。さらに,認証装置にそれぞれの指の静脈情報を登録し,例えば人差し指ならエンジン・スタート,中指ならカーオーディオの電源オンといった,指ごとの機能を設定することで,ドライバーの指を多機能スイッチとして理由することもできるようになる。

写真3●デモでは人差し指をエンジン,中指をオーディオ,薬指を自宅へのナビに設定していた
写真3●デモでは人差し指をエンジン,中指をオーディオ,薬指を自宅へのナビに設定していた
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 同社の説明員によると,このハンドル一体型の指静脈認証装置は,ATMなどにある従来品とは装置自体が異なっているという。「ハンドル一体型のものは,指の側面にセンサーを置いて指先の静脈を使って認証している。これは,認証装置本体を薄くしてハンドルの裏側に付けやすくするため」(説明員)。これに対して従来品は,指の腹側にセンサーを置き,第1関節から第2関節の間にある静脈で認証を行っているという。

 会場では,日立グループのブース内に独フォルクスワーゲン車のカット・モデルを置き,デモンストレーションを実施している。車に指静脈認証装置を組み込んだハンドルを取り付け,認証によってエンジンがかかったり(模擬音のみ)電動シートが動いたりすることを説明員の指を使って実演。さらに指を変えることで,オーディオの電源が入ったり,カーナビゲーションが動いたりすることもデモして見せた(写真3)。