写真●J-SOX適用目前の留意点や心得を説く新日本監査法人の森本親治パートナー
[画像のクリックで拡大表示]
「日本版SOX法(J-SOX)に対応する企業は今、文書化に取り組んでいる最中だ。だが、日本版SOX法対応全体の中で文書化は“序の口”。文書化の先にある、内部統制の有効性評価を意識した取り組みが欠かせない」。
新日本監査法人アドバイザリーサービス本部の森本親治 内部統制統括部長/パートナーは10月25日、「Biz Innovation 2007」の緊急講演「内部統制の落とし穴はここだ」に登壇。日本版SOX法対応の担当者に向けて、「ゴールを意識した取り組みを」と繰り返して説いた。
森本パートナーは、文書化を進めている最中の企業に「業務部門の担当者を巻き込んだ『現場参加型』で進める方が手戻りを防げる」とアドバイスする。日本版SOX法対応では、業務フロー図やRCM(リスク・コントロール・マトリックス)といった文書を作成する文書化作業の後に、整備した統制が有効に機能するかを確認する有効性評価の作業を実施する。有効性評価の際に、「文書化で作成した文書が実際の業務プロセスからかい離していると、文書を作成し直す必要がある」(森本パートナー)。このような事態を防ぐためにも、「現場の参加は欠かせない」(同)というわけだ。
また、「文書化を進めている企業は、すべての業務プロセスの文書化を終えるよりも、有効性評価までを一通り終わらせることを優先した方がよい」と森本パートナーは強調する。日本版SOX法は2008年4月以降に始まる事業年度から適用される。3月期決算の企業にとっては、08年3月に終了する事業年度が本番年度前の確認をする最後のチャンスになる。
本番年度前に特に確認すべき事項としては、「外部監査人との考え方」と森本パートナーは指摘する。「社内で有効性評価を実施する場合と、外部監査人が内部統制の有効性を監査する際のアプローチとが違うことを意識すべき」(同)という。社内で有効性評価を実施する場合は、有効性評価の工数をなるべく少なくするために、リスクが大きいものから重点的に評価を実施するアプローチをとりがちだ。例えば、「連結子会社が6社ある場合、リスクが大きいと判断した2社を有効性評価の対象にする」といった方法である。
だが「この考え方が、外部監査人には必ずしも受け入れられるとは限らない」(森本パートナー)。外部監査人が、「6社すべてについて有効性評価を実施したい」と言った場合、企業側は評価工数が増える。こうした外部監査人とのくい違いを防ぐためには、「企業側は外部監査人の考えを理解しながら、外部監査人を説得できるための証拠や論理を用意しておく必要がある」(同)。
最後に森本パートナーは「日本版SOX法では何が求められているかを常に考えながらプロジェクトを進めるべき」とアドバイスする。日本版SOX法は「連結財務諸表が正しいプロセスで作成されているか」(同)を求めている。業務プロセスの文書化を進めていると、伝票1枚1枚に対して紛失を防ぐためのチェックをするといった細部に目が行きがちになる。だが、「本当に財務諸表に影響を与えるのは、最後に連結財務諸表を作成する際に行う決算プロセス」と森本パートナーは断言する。「日本版SOX法対応の担当者は常に全体を見渡しながら、細かい作業にとらわれないでポイントを押さえているかを確認すべき」と強調した。