ヤマトホールディングスは11月1日から、通信販売などで購入した商品の代金を、荷物が届いてから電子マネーで後払いできる新サービスを開始することを明らかにした。まずはビットワレット(東京・品川)が運営する「Edy」に対応する。将来的には、セブン&アイ・ホールディングスが運営する「nanaco(ナナコ)」やJR東日本の「Suica(スイカ)」などほかの電子マネーにも対応していきたい考え。

 同社はクレジットカードについては2005年7月から軒先で決済できる仕組みを導入していた。電子マネーは少額決済のニーズが大きいと見ており、荷主である通信販売会社などからの受注獲得増を狙う考えだ。

 具体的なサービスはこうだ。通信販売会社などに注文した商品が発送される際に、代金を支払う払込伝票が同梱される。払込伝票には、二次元コードが印字している。商品を受け取った顧客は、携帯電話で二次元コードを撮影する。撮影したコードが、代金を支払うサイトへ誘導して決済する。ここで電子マネーで決済になる。これにより顧客は払込伝票を持って、コンビニエンスストアなどへ行かなくても支払い完了する。

ヤマトホールディングスの金融部門であるヤマトフィナンシャル(東京・中央)の芝崎健一社長は、「都心部ではコンビニエンスストアが24時間開いているが、地方は郵便局しか払い込めない地域もある。クレジットカードへの抵抗感がある顧客もいる」とし、電子マネー決済に需要があると判断した。将来的には、セールスドライバーと呼ぶ配達担当者に決済端末を配備して軒先でも電子マネーで決済できるサービスを提供することも検討している。

 新サービスを活用することで、荷主にとってはコスト削減効果も見込んでいる。二次元コードを電子メールで送ることで、払込伝票を再発送する手間が省けるようになる。払込伝票には有効期限があるため顧客が期限内に支払いを完了しなければ、払込伝票をもう一度発送しなければならず、発送コストが追加で発生していた。今回の仕組みを活用することで、二次元コードを印字した電子メールを顧客に送信するだけでよくなる。

 郵政民営化により、宅配便業界は今後競争のさらなる激化が予想される。新サービスを提供し付加価値を向上させることで、競争激化に対応していきたい考えだ。