島根県知事 溝口善兵衛氏
島根県知事 溝口善兵衛氏
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まつもとゆきひろ氏
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松江市長 松浦正敬氏
松江市長 松浦正敬氏
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 「島根県はRuby人材を育成しようとしている。またソフトウエア企業に特化した支援策として,都市部との航空機代の半額を補助する制度も開始する」(島根県知事の溝口善兵衛氏)---島根県は10月22日,ソフトウエア企業を対象とした企業誘致説明会を開催した。島根県知事の溝口善兵衛氏のほかまつもとゆきひろ氏や松江市長松浦正敬氏も登壇した。

 島根県では11月からRuby人材を育成するセミナーを開始する。Ruby入門コースやRuby on Rails運用コースなど5コースを開設した(島根県の発表資料)。

 島根県の県庁所在地である松江市は,世界的に普及しているオープンソースのプログラミング言語Rubyの作者まつもとゆきひろ氏が松江市に在住していることから,2006年度から「Ruby City Matsueプロジェクト」を進めており,研究交流拠点「松江オープンソースラボ」を開設するなどRubyを地域資源とした産業振興策を行っているが,松江市に続き島根県もRubyに関する具体的な取り組みを開始した。

 また溝口氏は説明会で,ソフトウエア企業に特化した支援策として,都市部との航空機代の半額を補助する制度も開始することを明らかにした。3人以上の新規雇用を行うソフトウエアまたはデジタルコンテンツ開発企業に対し,1人あたり50万円,高速回線代の半額を5年間,家賃の半額を8年間,航空機代の半額を5年間補助する。来年度にも開始する。現在も同種の補助を行っているが航空機代は対象ではなく,10人以上の新規雇用を行う企業が対象だった。松江市でも家賃と電気料金の半額を補助する制度を実施しており(関連記事),「両方を合わせれば家賃が無料になる」(島根県)。

 説明会に登壇したまつもとゆきひろ氏は,「ネットワークの普及によりどこでも開発できる時代になった」と指摘。ではどこで開発するか。田舎には通勤時間の短さや住居費の安さなどの環境の良さがある。不利な点は仕事がないことだが,ネットワークを使いこなせば距離は克服できる。まつもと氏もニューヨークの開発者とプロジェクトを行ったことがあるという。また「人材育成にはフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが有効だが,松江オープンソースラボで行われている勉強会『OSSサロン』では毎回豪華なゲストによる講演が行われており,島根大学のでは第一人者によるRuby公開講座(関連記事)も行われている」と島根の環境を紹介した。

 また島根県産業技術センター 泉賢二氏は,同センターで開発したバーチャルリアリティ技術を紹介した。50インチ・プラズマディスプレイのタッチパネル型情報端末装置「Reality Station」は製品化され,3次元地図情報システムやバーチャル・ミュージアムなどのコンテンツが開発されている。現在は電磁誘導式圧力分布マットセンサーシステム「Training Station」の製品化を進めている。幅約1.2メートルの大きさを持ち重心移動や体重を測定可能で,バランスゲームなどのマットセンサーとして使用できるという。

 松江市長松浦正敬氏はRuby City Matsueプロジェクトへの取り組みを紹介するとともに(関連記事),「速すぎもせず,遅すぎもしないちょうどよい時間の流れが松江にはある」と,松江の魅力を訴えた。

■変更履歴
本文中で島根県知事のお名前を浜口善兵衛氏としていましたが、溝口善兵衛氏です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/10/23 10:45]