NPO法人TOPPERSプロジェクトは10月17日,μITRON仕様のリアルタイムOSにメモリー保護など信頼性向上のための機能を追加した「TOPPERS/HRPカーネル」をオープンソース・ソフトウエアとして公開した。独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が信頼性を検証,「人工衛星などの宇宙機に用いることが可能」(TOPPERSプロジェクト)という。

 TOPPERS/HRPカーネルはメモリー保護機能やカーネルオブジェクトに対するアクセス保護機能を備える。高信頼性システム向けの機能として,ミューテックス,オーバランハンドラをサポートしている。HRPは「High Reliable system Profile」の略。

 公開されたのは,TOPPERS/HRPカーネルのうちターゲット・プロセサに依存しない部分と,カーネルの構成を決定するツール(コンフィギュレータ)。TOPPERSプロジェクトのサイトなどからダウンロードできる。現在TOPPERS/HRPカーネルはHR5000で稼働しているが,ターゲット・プロセサ依存部分は非公開で,使用したい場合はTOPPERSプロジェクトに問い合わせることとなっている。またもなみソフトウエアがMIPS32とIA32アーキテクチャへの移植を行っているが,これらのターゲット・プロセサ依存部は,同社製PizzaFactory開発環境のオプションとして有償で提供される。

 TOPPERSプロジェクトは,ITRON仕様の技術開発成果をベースとして,組込みシステム構築の基盤ソフトウエアを開発し,オープンソース・ソフトウエアとして公開するプロジェクト。

 TOPPERS/HRPカーネルの実装は,名古屋大学 大学院情報科学研究科 組込みリアルタイムシステム研究室,もなみソフトウエア,TOPPERSプロジェクトの会員が行った。