佐賀県は民間企業と共同で,佐賀県内でFON無線LANルーターとRubyを活用したユビキタス環境構築の研究を実施する。佐賀県では2007年8月に「イノベーション“さが”プロジェクト」として民間企業や団体からの提案を募集,このほど採択企業および団体が決定した。

 「イノベーション“さが”プロジェクト」は,「行政が持つ実務上のノウハウと、民間企業・団体などが持つ創意工夫・ノウハウとを持ち合うことで、県の公共サービスの質の維持向上及び経費の削減に資する製品又はサービスを創出する」研究プロジェクト。佐賀県は2007年8月に「地域サービスポータルの構築」,「無線技術を活用したユビキタス・ブロードバンド環境の構築」,「情報システムの資産評価」,「最先端電子県庁システムの調達手法の検討」の4つのテーマで,共同研究を行う意志のある民間企業や団体からの提案を募集していた。

 「無線技術を活用したユビキタス・ブロードバンド環境の構築」には,佐賀デジタルネットワーク,オプティマ九州支店,特定非営利活動 法人にんじんネット協議会,フライトシステムコンサルティングの提案が採択された。

 フライトシステムコンサルティングは,福岡を拠点にRubyを利用したビジネス・ノウハウの創出と共有を行う団体Rubyビジネス・コモンズ(関連記事)のメンバーであり,Rubyビジネス・コモンズと協力し,FON無線LANを設置,その位置情報を利用したアプリケーションやコンテンツをRubyで開発する。佐賀市や唐津市のような市街地域と,中山間地域の2地域で無線LANネットワークを構築。市街地域では商店街などと連携した商用サービスの実験を行う。中山間地域では市街地域との商用サービスと連動し,地域の特産品の紹介などを行うサービスを開発するとともに,過疎地域に居住するお年寄などITリテラシが必ずしも高くない住民に向けた情報発信サービスの実験を行う。FON無線LANルーターはフォン・ジャパンが提供する。佐賀のプロジェクトで設置されるFON無線LANルーターの台数は未定。

 Rubyビジネス・コモンズは福岡市天神で数百台のFON無線LANを設置しサービスを開発するプロジェクトを進めている(関連記事)。開発したアプリケーションはRubyビジネス・コモンズのメンバーで共有される予定で,天神の事業で開発された成果が佐賀のプロジェクトで活用される可能性もある。

 そのほかのテーマ,「地域サービスポータルの構築」では佐賀新聞社が採択された。佐賀新聞社はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)機能を持つ情報コミュニティサイト「ひびの」を運営している。「情報システムの資産評価」テーマではスクウェイブが情報システム資産にかかる費用及び業務内容の分析並びに妥当性の評価研究を行う。「最先端電子県庁システムの調達手法の検討」テーマではアクセンチュアが調達仕様の内容を効果という観点で定義し、効果自体を応札者に競争させる方法についての調査・検討などの研究を行うという。

◎関連資料
イノベーション“さが”プロジェクトに係る審査結果(佐賀県)