図1 Winnyネットワーク上に長期間存在する流出ファイルの例(ネットエージェントの資料から引用)
図1 Winnyネットワーク上に長期間存在する流出ファイルの例(ネットエージェントの資料から引用)
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図2 Winnyネットワーク上から消えた流出ファイルの例(ネットエージェントの資料から引用)
図2 Winnyネットワーク上から消えた流出ファイルの例(ネットエージェントの資料から引用)
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 セキュリティベンダーのネットエージェントは2007年10月16日、ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」経由で流出したファイルの所有者数の推移などに関する調査結果を公表した。それによると、掲示板への書き込みやニュース報道などがあった流出ファイルについては、長期にわたって多数のユーザーに所有される一方、これらがなかった流出ファイルの中には、Winnyネットワーク上から消滅したものもあったという。

 ネットエージェントは、Winnyのトラフィックを検知および遮断するシステムや、Winnyが構築するネットワーク(Winnyネットワーク)の状態を解析する「Winny検知システム」などを開発したベンダー。今回の調査結果は、同社のWinny検知システムで集計したもの。

 今回の調査では、以下の条件で無作為に抽出した流出ファイルをサンプルとして使用し、ファイル所有者数の推移の違いなどを調べた。

(1)掲示板への書き込みまたはインターネットへの情報掲載の有無
(2)プレスリリースまたはニュース報道の有無

 その結果、掲示板への書き込みやニュース報道があったときにファイルの所有者が増加することや、(1)と(2)の両方があったケースには、長期にわたってWinnyネットワークに存在する傾向があることが明らかとなった(図1)。

 一方、(1)と(2)の両方が無かったケースや、(1)だけがあったケースの中には、数日後にはWinnyネットワークから消滅した流出ファイルも確認されたという(図2)。一度流出したファイルがWinnyネットワーク上から消える理由として、同社では以下のように説明している。

 「Winnyでは、その仕組み上、ファイルをダウンロードしたユーザーが新たなファイル共有者(ファイルを公開するユーザー)になるので、ファイルを流出させたパソコンのアップロードフォルダーから該当ファイルを削除しても、Winnyネットワーク上から該当ファイルは消えたことにはならない。別のユーザーにダウンロードされる前に、該当ファイルを保有するユーザーが(該当ファイルが含まれる)キャッシュファイルを手動で削除すれば、該当ファイルは拡散せずにWinnyネットワーク上から消える」

 同社は同日、WinnyならびにShareのユーザー数(ノード数)の調査結果も公表した。それによると、2007年8月のWinnyのノード数は31万から41万を推移。前回公表した2007年4月末から5月初めのゴールデン期間中のノード数(35万から53万)と比較すると、若干減少した。1カ月間の平均ノード数はおよそ34万ノードで、2006年12月末から2007年1月初めの平均ノード数とほぼ同じであるという。

 Shareについては、2007年8月のノード数は13万から17万で、平均では15万ノード。前回公表した2007年のゴールデン期間中のノード数(13万から15万)の平均値を上回った。また、8月19日には、観測以来の最大となる17万ノード近くまで増加した。