新規事業者に開放される2.5GHz帯を巡り、アッカ・ネットワークスなど16社が名乗りを上げた10月11日の会見。ほかの出資者と共に登壇した三井物産のコンシューマーサービス・情報産業担当の伊藤博 代表取締役専務執行役員は「MVNEとして参加する」と発言した。無線通信インフラを他社から借りてサービス提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体サービス事業者)に対して、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)はまだまだ認知度が低い。MVNOと違って、日本語訳をあてたケースは少なく、MVNOに対比して名づけるとすれば「仮想移動体サービス事業支援者」といったところだろうか。

 MVNEは、MVNOの“黒子”として、課金やユーザー認証、あるいはユーザーからの問い合わせ窓口、マーケティング活動を代行提供する事業者である。既存の通信事業者が基地局や中継回線を販売し、MVNEがバックエンドのシステムを提供することで、MVNOは実質的に「ブランド」を用意すれば、移動体通信事業が始められる。

 日本国内では、少しずつMVNOが認知され始めてきたが、MVNE についてはほとんど実績がない。三井物産の伊藤専務によると「サイボウズ子会社のインフォニックスが始めている」というが、このほかの事業者を調べてみると、海外居住者向けの事業者などがわずかに見られる程度である。伊藤氏によると、米国では、ビサージュ・モバイル(Visage Mobile)などがMVNEとして実績を上げているようという。

 アッカの会見では、朝日ネットやNECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービットの5社がMVNOとして名乗りを上げた。三井物産は、これらMVNOの共通インフラを提供することを狙う。