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神奈川県横浜市にあるブックオフオンラインの倉庫。書籍、DVDなど約100万点がずらりと並ぶ
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右からブックオフオンラインの平山俊介社長、マーケティング部の広瀬真吾マネージャー、ロジスティクス部の岡本啓志マネージャー

 大手中古書店であるブックオフのグループ会社、ブックオフオンラインが2007年8月1日に開始したECサイト「ブックオフオンライン」(以下、BOO)。中古の書籍やDVD、ゲームなど従来ブックオフの店頭で取り扱っている商品に加え、新刊本なども取り揃えるなど、オンラインならではの展開を見せている。ここでは、本格始動したBOOの戦略と舞台裏を探る。

新品も扱うことで「オトナ買い」に対応

 BOOの在庫を一手に抱えるのが、神奈川県横浜市にある面積約4000平方メートルの物流倉庫である。2007年9月時点での在庫数は約100万点、そのうち中古書籍のみで約50万点に上る。従業員は約100人で、60~70人が注文受け付けや書籍のピッキング、配送手続きなどの倉庫内作業に携わる。処理数は、倉庫全体で1日約2000点、件数にして約300件を取り扱う。

 ブックオフ店舗では中古品のみを扱っているが、BOOでは各カテゴリーで新品商品も用意した。中古品の場合、新品とは異なり、需要に応じて商品を仕入れることは難しいからだ。「どうしてもユーザーのニーズに応えられない部分がある。新品商品を仕入れることでユーザーの選択肢を増せる」と、ブックオフオンラインの平山俊介社長は、ネット上での新品商品の仕入れに踏み切った理由を説明する。

 新品商品を仕入れることで、十数巻あるようなシリーズもののマンガ本や上中下などに分冊されている書籍、ドラマの1クール分のDVDなどを全巻揃えて購入する「オトナ買い」という、まとめ買いのオプションを実現できた。中古品で用意できる商品は最大限中古品で用意し、足りない商品を新品商品で補うという方針だ。

 書籍やDVDをメインにした有力ECサイトとしては、アマゾン ジャパンが運営する「Amazon.co.jp」、TSUTAYAが運営する「TSUTAYA online」などがある。しかし、平山社長は「ユーザーが我々に期待するのは中古。事業形態という面では(Amazon.co.jpやTSUTAYA onlineは)似ているが、コンペティターにはなり得ない」と力説する。実際、Amazon.co.jpは中古品も扱っているが、それらはアマゾン ジャパンではなく、メーカーや個人の出品者が販売元となるため、配送や配送料は別、ポイントが付かないなどユーザーにとって不便な面も多い。それに対してBOOは、「すべてを自社で管理するため、同一決済、同一こん包、同一配送が可能になる」(平山社長)という。

 実店舗でのノウハウもオンラインで生かしている。ブックオフの実店舗では、入荷して3カ月~半年で商品を100円コーナーに移動する。BOOではそのタイミングをユーザーにメールするサービスを提供している。