写真●オープンワイヤレスネットワークの経営陣と出資者代表。左から3番目が深田浩仁代表取締役社長兼COO,左から2番目が宮川潤一取締役CEO
写真●オープンワイヤレスネットワークの経営陣と出資者代表。左から3番目が深田浩仁代表取締役社長兼COO,左から2番目が宮川潤一取締役CEO
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 モバイルWiMAXの事業企画会社であるオープンワイヤレスネットワークは10月11日,計画する事業内容と経営体制を発表した。同社には,ソフトバンク,イー・アクセスに加え,ニフティ,NECビッグローブ,ソネットエンタテインメント,フリービットといったインターネット接続事業者(ISP)4社,投資会社2社が出資する(写真)。

 同社の代表取締役社長兼COOに就任したイー・アクセス執行役員副社長の深田浩仁氏は,「端末を通信事業者が囲い込む戦略は取らず,自由に販売できる形態を目指す。さらに,認証情報や位置情報など従来の携帯電話でオープン化が難しかった情報を完全にオープンにしていく」と同社のスタンスを説明した。

 モバイルWiMAX対応の様々な端末が登場することを想定しているという。具体的には,パソコン,携帯情報端末(PDA),ネットワーク家電,ゲーム機,カー・ナビゲーション・システムなどだ。「ユーザーが端末を自由に選び,購入したらその場で回線を開通できるようにしたい。制度面の課題もあるので,どの程度オープン化できるかは検討中」(深田社長)という。

 サービスについては,ISPやメーカーなどにモバイルWiMAXのデータ通信回線を卸売りするホールセール・モデルを採るとした。オープンワイヤレスネットワーク自身は,直接ユーザーにサービスは提供せず,卸売りに徹するという。そのため,電話番号を割り当てた音声サービスを提供する計画はない。ただし,「MVNOがVoIP(voice over IP)サービスを提供することを制限するつもりはない」(深田社長)とした。

 サービス開始は2009年3月を予定。料金はADSLと同水準を計画しており,「月額3000円から5000円の間で提供していきたい」(深田社長)とした。エリア展開は,人口カバー率を2010年3月末までに50%以上,2015年3月末までには90%以上にする計画だ。予測するユーザー数は,2015年3月末までにパソコン向けデータ通信サービスのユーザーで400万人。累積の設備投資額は,2015年3月末までて約2500億円としている。

「日本の通信を我々に任せてみてほしい」

 会見では,深田社長以外の経営陣も登壇した。深田社長との二頭体制となるもうひとりの代表取締役に,ソフトバンクモバイル代表取締役社長の孫正義氏が就任。取締役CEOにソフトバンクBB取締役専務執行役員の宮川潤一氏が,取締役にイー・アクセス取締役会長の千本倖生氏が就いた。監査役にはイー・アクセス執行役員内部監査室長の柴田雄司氏,CFOにイー・アクセス取締役のエリック・ガン氏,CTOにイー・アクセス専務執行役員CTOの小畑至弘氏が就任した。

 会見はほとんど深田社長が対応したが,最後に宮川潤一取締役CEOが発言。「我々は(インフラの運営のみに徹する)ゼロ種事業者の設立を目指している。最終的な料金を見えるようにするために,原価もすべてオープンにするつもりだ。日本になかったビジネスモデルを1から作りたい。これまでの事業でもNTTからネットワークを借りる交渉をしてきたが,牛歩戦術を取られたりと埒が明かないことが多かった。一度,日本の通信の主導権を我々に任せてほしい。どんな日本を作れるのか表現して見せる」(宮川CEO)と意気込みを語った。

 本来,ゼロ種事業者を目指すには通信事業者の一本化が望ましい。しかし,今回はそれを実現できなかった。宮川CEOは「我々がこれまで攻撃的だったせいもあって他社からは提携を嫌がられてしまった」と苦笑しながら事業者間連携に失敗した理由を説明。「今後,我々のグループに入りたいという事業者が現れたらオープンに対応する」(宮川CEO)と提携の拡大に前向きな姿勢を見せた。

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