アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏
アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏
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下り最大40Mbpsで、2009年3月に商用サービス開始
下り最大40Mbpsで、2009年3月に商用サービス開始
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当初は東名阪の主要都市から展開し、全国展開は2011年以降とする
当初は東名阪の主要都市から展開し、全国展開は2011年以降とする
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アッカ・ワイヤレスに出資、もしくは出資意向を表明している各社
アッカ・ワイヤレスに出資、もしくは出資意向を表明している各社
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 アッカ・ネットワークスとNTTドコモなどが出資するモバイルWiMAXの事業計画会社である「アッカ・ワイヤレス」は2007年10月11日、総務省に対しモバイルWiMAXの事業免許を申請した。同日開催した報道関係者向け説明会で、事業計画の概要とアッカ・ワイヤレスへの新たな出資企業などを明らかにした。

 事業計画によると、サービス開始時期は2009年3月。通信速度は下り最大40Mbps、上り最大5Mbpsで設計。当初は東名阪の各主要都市でサービスを始め、2011年以降に全国展開を目指す。人口カバー率は2009年に30%、2010年に50%、2013年に70%とする。

 目標契約数は2009年に25万加入、2013年に500万加入。損益分岐点は350万~400万加入程度と見積もっており、2012年に経常損益ベースでの単年度黒字化を目指す。月額料金は完全固定制とし、「現在市販されているデータカードを用いたサービスよりもかなり安い」(アッカ・ワイヤレス 代表取締役社長の木村正治氏)水準を目指す。

サービス方式は、データカード市販とID配布の2段階


 サービス形態は、モバイルWiMAX対応機器の広がりに合わせる形で2段階の設計としている。当初は対象者を個人のパソコンユーザーに絞り、パソコン向けのデータカードをアッカ・ワイヤレスの自社ブランドで市販する。その後、モバイルWiMAXモジュール内蔵のパソコンや携帯機器が増えてきた段階で、現行の公衆無線LANサービスなどと同様に、アッカ・ワイヤレスがIDを有償で配布するという形態も始める。この場合、ユーザーは任意のモバイルWiMAX対応機器を自前で用意し、モバイルWiMAX網に接続してIDで認証を受ける。

 また、仮想移動体通信事業者(MVNO:mobile virtual network operator)の仕組みを用いたサービスも積極的に展開する。具体的には、ニフティ、NECビッグローブなどのインターネット接続サービス(ISP)事業者各社やNTTドコモがアッカ・ワイヤレスのモバイルWiMAX網を借り受け、それぞれ自社ブランド名でユーザーにサービスを提供する。ISP各社が自社ブランドで、アッカ・ネットワークスやイー・アクセスなどのADSL回線を提供しているのと同様の仕組みである。

 財務面では、アッカ・ワイヤレスがWiMAX事業免許を取得した時点で増資を行い、資本金を300億円とする計画を発表した。その後も資本金は増額予定で、将来的には720億円を目指す。モバイルWiMAX事業への設備投資は2015年までに2000億円と見積もっているが、「盤石の資本・資金体制で臨んでいく」(木村氏)と自信を示す。300億円へ増資後の出資比率は、アッカ・ネットワークスが47%、モバイルWiMAX事業会社への出資制限を課せられているNTTドコモは26%を負担する。

韓国KTとドコモ、関連機器の共同調達など実施

 NTTドコモは、基地局をはじめとするモバイルWiMAX網の整備と、無線技術に関する支援を実施する。「当社は既に国内外でモバイルWiMAXの実証実験を行っている。これまで携帯電話サービスで培った無線技術と置局(基地局の設置)技術を生かしてアッカ・ワイヤレスに協力していく」(NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏)。また、韓国で2007年4月からモバイルWiMAXの商用サービスを展開しているコリアテレコム(KT)が出資の意向を表明。NTTドコモと共同でモバイルWiMAX関連機器を調達したり、モバイルWiMAX網を活用した新たなビジネスを検討したりする考え。アイテック阪急阪神、京浜急行電鉄の鉄道2社も出資し、車内や沿線でのサービス提供などを検討する。このほか、東京放送(TBS)や三井物産、JPモルガン証券なども出資予定。

 ISPでは朝日ネット、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービットの5社が、MVNOとして各社会員にワイヤレス接続サービスを拡販していく。朝日ネット以外の4社は、ソフトバンク/イー・アクセス陣営であるオープンワイヤレスネットワークにも出資しているが、「ADSLでも2社と協業して、ユーザーがどちらのADSL網を使うか選択できるようにしている。同様のことをモバイルWiMAXでも考えており、ユーザーにモバイルWiMAX網を選べる環境を提供したい」(NECビッグローブ 執行役員の小関義幸氏)と説明している。