写真●日本IBMのブレード型ワークステーション「BladeCenter HC10」。同社のブレード・サーバーと同じシャシーに入れて利用する
写真●日本IBMのブレード型ワークステーション「BladeCenter HC10」。同社のブレード・サーバーと同じシャシーに入れて利用する
[画像のクリックで拡大表示]

 日本IBMは10月10日、ブレード・サーバーと同じ形状のワークステーション製品「BladeCenter HC10」を発表した(写真)。ワークステーションの演算機能をサーバー側のブレード本体に集約。専用端末から、LAN経由で利用する。キーボードやマウスを操作した信号、画像などのデータは、ハードウエアで圧縮・暗号化して送受信することで、従来のタワー型ワークステーションと遜色ない応答速度を実現しているという。

 「従来のタワー型ワークステーションに比べて、BladeCenter HC10は排熱量を9割、設置スペースを8割削減できる」と、日本IBMでサーバー関連のマーケティングを担当するシステム製品事業ブランド・マーケティング担当の藤本司郎氏は語る。BladeCenter HC10と対で導入する専用端末機は、プロセサもハードディスクも持たない。熱をほとんど出さないため冷却ファンがなく、従って騒音も少ない。

 BladeCenter HC10はエンジニアリング用途としてグラフィック性能などを重視した製品だ。これとは別に日本IBMは、シトリックス・システムズやヴイエムウェアの仮想化ソフトとブレード・サーバーを組み合わせたシンクライアント・システムや、米クリアキューブテクノロジーのブレード型パソコン「ClearCube」も販売している。

 新製品は、こうした製品と競合させるのではなく、既存ワークステーションの中核ユーザーであった、金融業のトレーディング・システムや自動車のCADといった用途に売り込む。日米のIBMは、ワークステーションの大手顧客である金融や自動車といった業種の企業にヒアリングを実施。高いパフォーマンスやセキュリティ、運用管理性といった要件と同時に、オフィス環境の改善に対する要求が、多く寄せられたという。

 「利用者が自分の机の下にワークステーションを置いていると、発熱と騒音で作業効率が著しく下がる。100台規模で使う企業になると、問題はより深刻になる」(藤本氏)。そこで日本IBMは、処理性能やセキュリティ、運用管理性といった特徴に加えて、オフィス環境におけるBladeCenter HC10の「グリーン度」をアピールする考えだ。

 オフィスに設置していたワークステーションをサーバー室やデータセンターに移しただけならば、発熱や騒音を発する場所が変わったに過ぎない。しかし藤本氏は「タワー型ワークステーションは個々に電源装置や冷却ファンがついているが、ブレード型ワークステーションはこれらをシャシー(きょう体)に集約している分、消費電力は少ない。トータルの運用コストは、同台数のタワー型ワークステーションと同等」と話す。「オフィス環境をグリーンにできる分、ブレード型ワークステーションの方が魅力を感じてもらえるはずだ」(同)。

 BladeCenter HC10のプロセサはインテルのCore 2Duo(1.8G~2.66GHz)を1個搭載。メモリーは最大4GB(2GB×2)、ハードディスク容量は60GB。ビデオカードはNVIDIA NVS 120Mまたは同FX 1600M。価格は35万7000円から。専用端末機の価格は7万4970円。