総務省は2007年10月10日、同省や経済産業省、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)やメーカーなどが共同で実施している「ボット対策プロジェクト」への参加ISP数が、8社から65社になったことを明らかにした。これにより、「ブロードバンドユーザーの7割5分から8割弱をカバーできる」(総務省情報通信政策局 情報セキュリティ対策室 課長補佐の村上聡氏)。
ボットとは、ユーザーに気付かれないように感染し、パソコンを乗っ取る危険なウイルス(悪質なプログラム)のこと。ボットに乗っ取られたパソコンは、迷惑メールの送信やDDoS攻撃(分散サービス妨害攻撃)の踏み台などに悪用される。
ボットの問題点は、感染してもユーザーが気付かないこと。知らないうちに乗っ取られ、攻撃者に悪用され続ける。このため2004年以降、世界中で深刻な被害をもたらしている。日本も例外ではない。国内パソコンの40台に1台がボットに感染しているという調査結果がある。
そこで2006年12月、国内では官民が協力してボット対策に乗り出した。ボット対策プロジェクトでは、出回っているボットを収集して解析。解析結果から、各ISPは感染パソコンのユーザーへメールで通知し、ボットの駆除ツールなどを提供するポータルサイト「サイバークリーンセンター(Cyber Clean Center)」へ誘導する。
同プロジェクトの対象となるのは、参加ISPのユーザーに限られる。プロジェクト開始時の参加ISPは「@nifty」「BIGLOBE」「DION」(当時)、「hi-ho」「IIJ」「OCN」「ODN」「Yahoo! BB」で、この時点におけるブロードバンドユーザーのカバー率は「およそ6割強」(村上氏)。参加していないISPのユーザーには、たとえ感染していても通知メールが送られてくることはない。このため同プロジェクトでは、参加ISPの拡大が急務だった。
参加ISPを増やすべく、総務省などは2007年7月23日から8月1日までに、全国5カ所でISPを対象とした説明会を実施。説明会には195社が参加し、そのうち57社が新たに参加した。57社の社名は、総務省が発表した資料に掲載されている。
総務省では、今後も同プロジェクトへの参加を全国のISPに対して呼びかけていくという。