大阪証券取引所とジャスダック証券取引所は10月9日、非常時に売買システムを相互に利用しあう「緊急取引制度」を開始した。大災害や大規模なシステム障害でも、株式の売買をできるだけ短期間に復旧する事業継続計画(BCP)の強化が目的だ。

 非常時は、バックアップ側の取引所に、銘柄をシステム的に新規上場させる例外的な運用となる。例えば、東京エリアで大災害が発生した場合、ジャスダックの各銘柄を大証に上場。証券会社は大証の銘柄として売り買いすることとなる。対象はそれぞれの取引所に単独で上場している銘柄に絞っている。

 処理能力には十分な余裕がある。どちらの取引所も実取引の数倍の能力を持つシステムを運用しており、非常時に一方の取引所に処理を集中させても余力がある。処理内容についても証券業界での標準化が進んでおり、システム的に大きな変更をしていない。

 バックアップは災害発生などから即時ではなく、翌営業日を基本としている。取引所側の準備だけでなく、証券会社や投資家への周知徹底が必要となるからだ。

 今回の取り組みは、BCPの観点から見て“究極”の一形態と言える。別サイトでの運用だけでなく、実装が異なるシステムでのバックアップであるからだ。05年夏にジャスダックで発生した障害では、メイン・システムと同じバグが待機系にもあったため、バックアップが効かなかった。