握手するマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長(右)と,上勝町・笠松和市町長
握手するマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長(右)と,上勝町・笠松和市町長
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覚書に調印する両者
覚書に調印する両者
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調印式に先立ち,ヒューストン社長は上勝町の農家を訪問した
調印式に先立ち,ヒューストン社長は上勝町の農家を訪問した
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 マイクロソフトと徳島県勝浦郡上勝町は10月9日に,ICT(Information and Communication Technology)利活用による地域振興および,過疎地域における自立的なICT利活用促進の運用,町民のICTリテラシー向上などにおける協業を発表。上勝町役場において,協業に関する覚書を交わした。マイクロソフトは,過疎や少子高齢化などの課題を抱える地域と模範となる事例として,全世界に広く情報を発信し,ICT利活用による地域産業振興の事例とする考え。

 上勝町では,現在,86%の世帯に光ファイバーが敷設されており,第3セクターの株式会社いろどりを中心に,平均年齢70歳の190人の高齢者がITを活用し,木の葉や草花を,料理の「つまもの」として流通。年間2億6000万円の売り上げをあげている。

 今回の協業では,光ファイバー網のインフラを利用することで,過疎地や山間地における産業活性化,生活への活用を促進するほか,町ぐるみのICTリテラシー向上などを実施するための運用モデルを構築し,これをパッケージとして開発する。また,セミナーなどを通じて他の市町村も共有できるようにする。そのほか,ICTマスターの育成などを通じて,「ICT消防団」と呼ばれる地域のICTリーダーを配置したり,情報モラルや情報セキュリティ,知的財産に関する啓発活動なども行う。

 上勝町・笠松和市町長は,「道路の二車線化や高速道路を建設しても,移動に時間と費用がかかることには変わりはない。だが,光ファイバーの敷設によって,情報を入手したり,仕事を行ううえでの時間や費用は,都市部と同じ状況になる。つまものでは成果をあげているが,農林業ではまだ課題も多い。過疎地にいながらも,全国展開を行うことができる体制づくりは,行政にとっても大きな課題。マイクロソフトの支援に期待している」と語った。

 同地を訪れたマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長は,「上勝町の取り組みは,ITを活用して,いかに地域を変化させることができるかという点での好例。この事例を他の地域にも展開することで,社会にも貢献できる」と語った。