図1:会見する松下電器の大坪文雄社長
図1:会見する松下電器の大坪文雄社長
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図2:今後3年間でグロバールな生産活動によるCO2排出量を30t削減,2010年度には2000年度の水準を目指す
図2:今後3年間でグロバールな生産活動によるCO2排出量を30t削減,2010年度には2000年度の水準を目指す
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図3:「エコアイディア宣言」のテレビCMを記者会見場で披露
図3:「エコアイディア宣言」のテレビCMを記者会見場で披露
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図4:環境問題が深刻な中国での取り組みを加速させる
図4:環境問題が深刻な中国での取り組みを加速させる
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 松下電器産業の大坪文雄社長(図1)は10月5日に記者会見し,環境経営の新たな行動計画について発表した。今後3年間で,グロバールな生産活動による二酸化炭素(CO2)排出量を30万t削減するとし,はじめて「総量」の削減に数値目標を掲げた(図2)。これまではCO2排出量を売上高や生産高で割った「原単位」の削減目標を設定していた。

 「地球温暖化はますます加速しており,非常に危機的な状況にある。もはや原単位の削減ではなく,総量の削減を目標にしない限り,グローバル企業としての責務を果たせない」と,大坪社長は取り組みを強化した背景を説明する。

 同社は今年度から2009年度までの3年間,「収益を伴った着実な成長」をテーマに中期経営計画「GP3計画」を推進している。今回新たに「全ての事業活動で環境負荷を削減する」をテーマに追加するとともに,具体的な3つの重点施策を「エコアイディア宣言」として発表した。

 このうち(1)「商品のエコアイディア」では,省エネ技術の開発を加速し,省エネ性能の高い製品を増やす。国内では省エネルギーセンターが発表している省エネ性能カタログ(エネルギー消費効率のよい順にランキング)をベンチマークに使い,7種類の家電製品カテゴリについて「No.1製品」の比率を現在の16%から,3年後の2009年には30%に倍増させる。

 (2)「モノづくりのエコアイディア」では,商品企画から設計,製造,物流,販売,サービス,リサイクルの全てのプロセスで生産性を向上し,CO2排出削減に努める。この中にはITの活用,例えばWeb会議システムによって遠隔会議を行い,社員の出張を減らすといった取り組みも含まれる。

 さらに(3)「ひろげるエコアイディア」として,環境に配慮した取り組みを地域社会や世界に広げる活動を展開する。「エコアイディア宣言」のシリーズ広告(図3)では,洗濯乾燥機や蛍光灯,エコキュート(給湯器)などの省エネ製品の性能を,具体的なCO2削減数値によってアピールするとともに,「衆知を集めて,エコを広げよう」と呼びかけている。

 グローバルでは,特に中国での環境関連プロジェクトを加速する(図4)。「中国には60もの拠点があり,環境問題の深刻さを実感しているところだ。省エネ製品の開発や工場のプロセス改善など基盤となる技術を提供することで貢献していく」と大坪社長は語り,環境技術で中国での存在感を高めたい意向だ。