ザ・グリーン・グリッドのボードメンバーのドナルド・ティルトン博士(米SprayCool社)が講演
ザ・グリーン・グリッドのボードメンバーのドナルド・ティルトン博士(米SprayCool社)が講演
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 「IT業界において、エネルギーこそ最も差し迫った課題の一つだ」――。米国のNPO(非営利組織)、ザ・グリーン・グリッドの主管アドミニストレータであるリーン・プレズネル氏は、10月4日に都内で開催した「グリーンITシンポジウム」(主催は日本AMD)で、こう警鐘を鳴らした。特に、2015年にはデータセンターのサーバー運用のエネルギー・コストがサーバーの購入コストを超えそうだという調査結果を踏まえ、IT業界として省エネ問題を早急に解決しなければならないと訴えかけた。

 データセンターの省エネを促進するために生まれたのが、ザ・グリーン・グリッド。同団体は、(1)データセンターの総消費電力の測定方法を決め、(2)ベストプラクティスや技術を開発し、(3)適用を促進する、ことなどを目的に活動しているとプレズネル氏は説明する。07年2月に設立したばかりのザ・グリーン・グリッドだが、会員企業は順調に増えて現在は96社。10月4日朝の調印で、日本企業として初めて、CTCソリューションズが正式に参加したことを明かした。

 ザ・グリーン・グリッドのボードメンバーの1人であるドナルド・ティルトン博士(米SprayCool社)も登壇。同NPOの活動について説明しつつ、データセンターが抱える省エネ問題に対して、どのようなステップで解決していくべきなのかを解説した。07年にザ・グリーン・グリッドが押し進めるロードマップは、大きく3つある。

 第1段階は、現在どのような状況にあるのかを確認できるようデータ収集し、基準を作ることだ。特に、継続的にデータを収集できるよう運用体制を整え、その情報を会員企業に公開することも必要だと説明した。第2段階は、省エネのための新技術や実装技術、ビジネス効率などを考慮して、ベストプラクティスの運用モデルを策定する。第3段階として、グリーンITに関連する技術を査定して、ザ・グリーン・グリッドとして広く一般に薦められるかどうか見極めるというもの。

 ティルトン博士は、ザ・グリーン・グリッドの意義についてこう力説する。「決してサーバーの出荷台数を減らそうとしているのではない。エネルギーを無駄にせず、最も効率的な姿を探すことが目的だ」。IT業界が積極的に関わるべき問題にするために、ザ・グリーン・グリッド日本支部を設立するなどして、日本政府と協力関係を作り、グリーンITを力強く推進する体制を整えたいと締めくくった。