米Microsoftは10月2日(米国時間),米Appleおよび市場をリードしている「iPod」シリーズと競うため,携帯用メディアプレーヤ「Zune」の第2世代モデルを発表した。Zune用のソフトウエアおよびサービスも全面的に刷新する。30Gバイト版しかなかった初代Zuneと違い,第2世代はフラッシュ・メモリーを搭載する4Gバイト版および8Gバイト版と,ハード・ディスク装置タイプの80Gバイト版の3モデルとなる。新モデルはいずれも初代Zuneよりスマートで小型化し,iPodのよい競争相手になりそうだ(関連記事:Microsoftが「Zune」新シリーズ発表,フラッシュ搭載モデルなどでiPodに対抗)。

 新型Zuneについて,Microsoft会長のBill Gates氏は「われわれはゲーム,音楽,ビデオに対して大きな賭をしており,こうしたエンタテインメント機能を結びつけることで,ユーザーの楽しみ方を変えていく」と述べた。「Zune部門が1年間で成し遂げた成果に感動している」(Gates氏)。

 Gates氏が言及した1年間はどのような状況であったか具体的に示そう。わずか6カ月という短い開発期間で市場に登場した初代Zuneは,ほぼあらゆる面で目標を下回った(関連記事:米Microsoftの「Zune」は疑問だらけ)。発売からの累積販売台数は約120万台に過ぎない。それに対し,iPodは同じ期間に3200万台以上売れた。今回の第2世代Zune投入で,Microsoftは失った市場シェアの奪還を図る。旧モデルとなる30Gバイト版Zuneの販売は継続するが,新モデルに合わせて,完全に最初から作り直したパソコン向けZuneソフトウエアとZune用オンライン・コンテンツ販売サービス「Zune Marketplace」を提供する。さらにオンライン・コミュニティ「Zune Social」も開設し,Zuneにソーシャル・ネットワーキング機能を付加する。

 新型Zuneの登場を予想していた人は多かった。今回の発表で予想外だった真のビッグ・ニュースは,Microsoftが米Apple米Wal-Mart Stores米Amazon.comに追従し,デジタル著作権管理(DRM)制限をはずしたDRMフリー楽曲の販売を間もなく始めることだ。しかも,MicrosoftはWal-MartおよびAmazon.comに倣ってDRMフリー楽曲を業界標準のMP3フォーマットで提供するが,ライバルと違う対応をとり,DRMフリー楽曲に電子透かしを入れたり,デジタル追跡技術を適用したりしない。先ごろZune担当マーケティング・ディレクタのJason Reindorp氏は筆者に対し「われわれが提供するDRMフリー楽曲は純粋なMP3ファイルである」と述べ,追跡技術を用意することや標準的でない楽曲ファイルを使うことなど「断固拒否する」と話した。

 DRMフリー楽曲に対するこうした方針は,Microsoftの強みとなる。DRMフリー楽曲の販売を初めて行ったのはAppleだが,AppleはAACという音声フォーマットを採用している。AACフォーマットの音質は素晴らしいものの,対応しているプレーヤやソフトウエアは少ない。MP3フォーマットは最も互換性に優れた選択肢であり,現在流通している事実上すべての音楽プレーヤとソフトウエアで再生できる。

 まだまだ様々なことが進行中である。追加情報とたくさんの写真を入手したので,SuperSite for Windowsに掲載した筆者のレビュー記事「Zune 2 Preview」(英文)を読んでいただきたい。