写真●KDDIの沖中秀夫執行役員技術渉外室長(撮影:井上裕康)
写真●KDDIの沖中秀夫執行役員技術渉外室長(撮影:井上裕康)
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 KDDIの沖中秀夫執行役員技術渉外室長(写真)は10月3日,NGN(次世代ネットワーク)の最新動向を解説する専門セミナー「NGN Summit」で講演し,同社のNGN戦略を語った。講演タイトルは「FMBCを目指すKDDI」。

 KDDIは現在,NGN構想として「ウルトラ3G」を推進中。ウルトラ3Gの具体的な動きとしては,固定電話網のIP化を進めている段階だ。同社は電話交換制御を含めてすべてIP化する方針で,今後は固定電話網だけではなくデータ通信系,移動通信系に拡張していく計画である。

 沖中執行役員は,ウルトラ3Gの特徴について「アクセス非依存であることだ」と強調する。ウルトラ3Gで提供するサービスは,どんなアクセス回線でも利用できるようにするということだ。「ウルトラ3Gは携帯が主だととらえられがちだがそうではない」(沖中執行役員)。

 KDDIがウルトラ3Gで実現するサービスとして掲げるのが「FMBC」である。FMBCとは,固定通信と携帯通信の融合を意味するFMC(fixed mobile convergence)に放送(broadcast)を追加したサービス概念だ。沖中執行役員は,「FMBCの実現こそが我々のNGN構想」と強調する。

 沖中執行役員は,FMBCの具体的なサービス像を以下のように示した。「例えば,音楽ファイルを携帯電話と固定電話の両方でやり取りするサービスやFM放送で流れている音楽のCDをすぐに購入できるサービス,あるいは携帯電話向けのマルチメディア配信サービス『MediaFLO』などだ」。KDDIはこれらのサービスを,ユーザーがいつでもどこでも最適な通信環境で利用できるようにする考え。それを実現するために「通信・放送連携サービス輻輳(ふくそう)制御」などの技術を開発しているという。