ヤフーの井上雅博社長(撮影:皆木優子)
ヤフーの井上雅博社長(撮影:皆木優子)
[画像のクリックで拡大表示]
テレビ向け「朝よむマガジン」のデモ。男女のキャラクターがニュースキャスターのようにニューストピックを読み上げる(撮影:皆木優子)
テレビ向け「朝よむマガジン」のデモ。男女のキャラクターがニュースキャスターのようにニューストピックを読み上げる(撮影:皆木優子)
[画像のクリックで拡大表示]

 ヤフーの井上雅博社長は2007年10月3日、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN」で講演し、インターネットサービスの現状と同社が掲げる「Yahoo!Everywhere構想」への取り組みについて説明した。

 井上社長はまず、「ブロードバンド回線の普及によって、インターネットの使われ方は変わった」と説明した。家庭内の複数のパソコンやネットワーク機器が同時にインターネットに接続してもストレスなく通信できるようになり、閲覧されるコンテンツが文字や画像から動画共有やソーシャルネットワーキングサービス(SNS、ソーシャルネットワーキングサイトともいう)のような情報発信・共有型コンテンツに変わっている。今後は、「Webサイトはページビューの多少よりも利用時間の長さで評価すべき」とした。

 実際、ヤフーとしても各ユーザーへのYahoo!へのアクセス時間を増やす取り組みを進めている。昨年、同じCEATEC JAPANの会場で井上社長が発表した「Yahoo!Everywhere構想」である。この構想のキーワードとなるのが、「オープン性、ユーザーインタフェース(UI)の最適化、シームレスの3つ」だ。

 オープン性については、インターネットに接続する端末が従来のパソコンに加え、携帯電話、テレビ、家庭用ゲーム機などに広がったことで、ユーザー層の幅やサービスの種類、市場規模が拡大していることを指摘。インターネットのオープン性は高まっていると見る。

 その一方で、現状のインターネットサービスは必ずしもこれらの機器向けに作られていない。どんな機器でつないでも、迷うことなく使えるUIの最適化を進めることが重要だと言う。例えば、「今のYahoo!JAPANはパソコンにとって使いやすいUI。携帯電話やテレビのリモコンで操作しやすいUIは別に考える必要がある」と話す。

 また、接続するたびに使用する機器が違っても、問題なくサービスを利用できるようなシームレスな環境も必要」という。パソコン、携帯電話、テレビなど複数のデバイスでインターネット上のサービスを利用しようとすると、デバイスごとに情報の登録や設定が必要になる。それは面倒だ。「どのデバイスで、いつ使っても同じ情報に簡単にアクセスできるようにしたい」。

テレビにはテレビ向けのインタフェースを

 Yahoo!Everywhere構想の具体的な例としては、ヤフーが携帯電話向けに提供中の「朝よむマガジン」を紹介した。これは、天気予報や12星座占い、最新ニューストピック、電車の運行情報などを記載したメールが毎朝携帯電話に届くというもの。通勤途中に電車の中で立ってチェックすることを想定した内容となっている。

 今後のサービスイメージとして、「朝よむマガジン」のテレビ向けプロトタイプも披露した。テレビ向けの場合は、出かける準備をしながらでも内容をチェックできるよう、男性、女性のキャラクターがニュースキャスターのようにニュースや天気予報を読み上げる形になっている。

 さらに、日産自動車のカーナビゲーション向け情報配信サービス「カーウイングス」と連携したサービスのデモも実演。家庭用ゲーム機からテレビを介して「Yahoo!地図情報」にアクセスし、目的地を検索。カーウイングスから検索した情報にアクセスして目的地に設定するプロセスを見せた。

 井上社長はこれらのサービスを紹介した上で、今後のインターネットサービスは「どこからアクセスするのか、座ってみるのか立ってみるのか、一人なのか家族と一緒なのかといった利用場面を想定して考えていくことが重要」と主張した。