写真●NTT持ち株会社の橋本信常務(撮影:井上裕康)
写真●NTT持ち株会社の橋本信常務(撮影:井上裕康)
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 NTT持ち株会社の橋本信常務は10月3日,NGNの最新動向を解説する専門セミナー「NGN Summit」で講演し,2010年には全加入世帯の半数に相当する2500万世帯でNGNが利用可能になるとの見通しを示した(写真)。講演タイトルは,「NTTにおける次世代ネットワーク(NGN)の取り組みについて」。

 橋本常務はまず,NGNの進捗状況を説明した。ネットワーク構築については,NTTは現在,中継系ネットワークを構築している最中。これから2007年度中の商用サービス開始に向けて,「電話交換機に相当するエッジ・ノードを逐次導入していき,具体的なサービス提供を可能にしていく」とした。さらに,「このエッジ・ノードを全国エリアで展開して中継網と接続,2010年には全5000万世帯の半分がNGNに移行できるようにする」という方針を初めて示した。

 続いて橋本常務は,商用化サービス開始に向けて実施中のNGNフィールド・トライアルにおいて実験しているシステムやサービスの特徴についても説明した。フィールド・トライアルには現在約30社が参加しており,各社がNGNを活用した具体的なサービスやシステムの技術検証などを行っている。その一つとして,NGNのショールーム「NOTE」(NGN Open Trial Exhibition)でも展示している「ハイビジョン映像コミュニケーション」を紹介した。

 ハイビジョン映像コミュニケーションは,等身大のハイビジョン映像を駆使し,あたかもその場で対面会議をしているかのような臨場感あふれるビデオ会議ができるシステムだ。「1.5Gビット/秒のハイビジョン映像を約10Mビット/秒に圧縮する技術を活用し,NGNを使って高精細な映像をスムーズに伝送できる」と,橋本常務はそのメリットを説明した。

 一般家庭や事業所を対象にした実証実験にも言及した。この実験は,約500のモニターがひと足先にNGNのサービスを体験できるというもの。橋本常務は「トライアルのサービスは好評で,近く評価をまとめた結果を発表する」と明かした。

 また橋本常務は,NGNとインターネットとの違いを高速道路になぞらえるという方法で解説した。インターネットについては,「どんな車でも自由に利用できるという利点がある一方で,車線規制がないために,大型の自動車が通ると小型の車が通れなくなるといった不公平さや安全性の問題がある高速道路」だと指摘。一方のNGNは,「品質保証を実現して一定の品質のサービスを公平に受けられるようにしたもので,小型の自動車も安心して通行できる高速道路だ」と語った。