写真●総務省総合通信基盤局の寺崎明局長(撮影:井上裕康)
写真●総務省総合通信基盤局の寺崎明局長(撮影:井上裕康)
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 NGN(次世代ネットワーク)の最新動向を解説する専門セミナー「NGN Summit」が10月3日,東京都内のホテルで開幕した。初日のビジネスDAYでは,総務省総合通信基盤局の寺崎明局長(写真)が基調講演し,IPネットワークや急増するインターネットのトラフィックについての考えや総務省の取り組みなどについて語った。

 寺崎局長は,「NGN時代に対応した電気通信分野の政策動向について」と題して講演。この中で,国内のインターネットのトラフィック量が「流通する情報が増えているために,非常な勢いで伸びている」という現状を説明した。総務省は学界やISP(インターネット・サービス・プロバイダ),IXと協力して,半期に一度,インターネットのトラフィック量を集計している。これによると,2007年5月時点の推定トラフィック量は700Gビット/秒で,2008年5月ごろには1Tビット/秒に達する見通しだ。

 トラフィック急増に伴い,通信事業者がルーターの増設などの設備投資を行わなければならなず,誰がその投資を負担するのかという問題が浮上している。これに対して,寺崎局長は「利用の公平性とともに,負担の公平性を考えなければならない」と話す。こうした問題を解決するために,総務省は「ネットワークの中立性に関する懇談会」を開催。寺崎局長は,このほど公表された同懇談会の報告書の概要についても講演の中で説明した。

 また,寺崎局長は電気通信事業分野での競争政策の変遷と課題を説明する中で,従来の交換機で集中的に制御する電話網から,ブロードバンド化やモバイル化などネットワーク構造の変化に伴い,分散制御型のIPネットワークに移行する過程を説明した。その中で,「将来的に考えるとIPネットワークは万能ではなく,分散型制御にもデメリットはある」と指摘。「ネットワークの世界は集中制御と分散制御を繰り返しながら技術を発展させてきた」との考えを示した。