ノースグリッドは,Webブラウザから利用可能なファイル共有サービスであるWebDAVファイル・サーバーを構築するためのソフト「Proself」の新版Ver2.10を,9月26日に出荷した。従来版では実現できていなかったCIFS/NFSなど他のファイル共有サーバーとの相互運用を可能にした。価格は,9万9750円。

 Proselfは,WebDAVサーバー構築ソフト。WebDAVとは,HTTPを拡張したファイル共有プロトコル。WebDAV対応のWebブラウザや専用ソフトなどから,ファイル/フォルダ操作が可能。単なるWebサーバーやFTPサーバーとの最大の違いは,ファイル・サーバー内部のファイル・コピーの際に,クライアント側にデータ転送の必要がないという点。WebDAVの代表的な実装は,米MicrosoftのIIS(Internet Information Services)とIE(Internet Explorer)である。

 Proselfの構成要素は,LinuxやApacheをベースとしたWebDAVサーバー,Proself独自のユーザー権限管理モジュール,Windowsエクスプローラに組み込む専用のWebDAVクライアント,TomcatをベースにJava Servletとして実装したWebアプリケーション型WebDAVクライアント(HTTP-WebDAV変換プロキシ),などである。インターネット経由でWebDAVファイル・サーバーを安全に業務運用するための仕組みが一式揃う。

 ProselfのWebDAVサーバー機能がIISなど他のプレーンなWebDAVサーバーと異なっている点は,独自に拡張したユーザー権限管理機能によって,ユーザーのグループ化やアクセス制御などが可能になっていること。ただし,この機能強化の一方で,WebDAVサーバーに対するアクセスは,専用クライアントか,または専用のWebアプリケーション型クライアントを経由する必要がある。

 Proselfの新版では,CIFS/NFSなど他のファイル共有サーバーとの相互運用を可能にした。具体的には,CIFS/NFSなど他のファイル共有サービスが利用するOS配下のファイル・システムを,Proselfのファイル格納用途に利用できるようにした。これにより,Proself経由で格納したファイルをCIFS/NFS経由で閲覧したり,CIFS/NFS経由で格納したファイルをProself経由で閲覧できるようになった。インターネットからはProselfでアクセスし,社内LANからはCIFS/NFS経由でアクセスするといった運用が可能になる。

 これに対して,従来のProselfは,他のファイル共有サーバーとの相互運用ができなかった。この理由は,従来のProselfが,OSのファイル・システムをファイル格納に利用してこなかったからである。OSのファイル・システムの代わりに,独自の方式を用いてファイルを格納しており,Proself配下のファイルは,OSのファイル・システムからはファイルとして認識できていなかった。このように設計していた背景には,Proselfの初期版を設計した時代には,ファイル名の日本語化などでOSのファイル・システムをそのまま利用できなかったという状況があるという。