米Microsoftは9月最終週,Web検索サービス「Live Search」の新版の運用を開始し,ライバルである米Googleと米Yahoo!を追い上げる。まず数週間は米国ユーザーにのみ新版を提供し,10月末には全世界で利用可能とする(関連記事:Microsoft,「Live Search」の検索エンジンを強化,インデックスを4倍に拡大)。

 Microsoft副社長のSatya Nadella氏は「今回のLive Searchリニューアルで,当社の技術陣が特に力を入れたのは,毎月この検索サービスを使ってくれるユーザー1億8500万人にとって最も重要な部分である」と述べる。「検索時の操作性を大幅に改善することができた。われわれはユーザーがどのような情報を検索するのか把握しており,エンタテインメント/ショッピング/ヘルスケア/地域検索という関心の高い分野に取り組んだ。Live Searchの新しい中核プラットフォームを導入することで,ユーザーを増やすとともに,検索するつどロイヤルティを高める計画だ」(Nadella氏)。

 Nadella氏の発言したような状況は,実現するだろうか。Microsoftは長年の研究開発活動やLive Searchへの投資といった努力が実を結ばず,Web検索市場で万年3位に甘んじている。それどころか「この期間にMicrosoftの市場シェアは縮小した」とするWeb調査会社が複数ある。しかしMicrosoftは,優れた操作性と,当たり前ではあるが優れた検索結果を提供しさえすれば,顧客を獲得できると信じている。

 Live Searchの新版は,検索用インデックスのサイズをサービス開始当初の4倍に拡大した。ユーザーが本来何を探しているかを理解し,リアルタイムに検索結果を更新する新しい検索アルゴリズムも採用した。天候や画像,有名人,スポーツ,株式,地図といった特定分野の問い合わせ操作に対しては,より豊富な結果を提示できるよう改善している。さらに,検索操作全体の40%以上がエンタテインメント/ショッピング/ヘルスケア/地域分野に対するものだったことから,「垂直検索」と呼ばれる特定分野に絞り込んだ検索機能も強化した。

 MicrosoftのWeb検索サービスは,これまでも常にGoogleおよびYahoo!のサービスより的確であり,明らかにいくつかの点で優れていたにもかかわらず,ユーザー獲得に苦しんできた。今回のLive Searchがこうした傾向の逆転に貢献するかどうかは不明だ。ただし,Microsoftが「各種Windows Liveサービスの連携を高め,うまく組み合わせて提供しよう」と決断する役には立つだろう。ところが,それを理解するのに数年かかる可能性もある。