写真●米インテルのパット・ゲルシンガー上級副社長
写真●米インテルのパット・ゲルシンガー上級副社長
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 「IT業界が排出するCO2は全世界の2%を占め,航空業界とほぼ同等。ITのエネルギー問題に真剣に取り組まねばならない」――。米インテル上級副社長のパット・ゲルシンガー氏は,IT業界の課題をこう強調する(写真)。同社は2007年6月,米グーグルなどと共同で,IT業界の環境問題に取り組む業界団体「Climate Savers コンピューティング・イニシアチブ」を設立した。メンバーの1人として活動するゲルシンガー氏は,「コンピュータの電力効率を向上させて温室効果ガスの年間排出量を5400万トン削減することを目指す」と目標を掲げる。

 Climate Saversは,自然環境保護団体である「WWF(世界自然保護基金)」が進めるプログラムである。参加企業は温室効果ガスの削減目標を設け,それを実行。WWFが目標の内容や実行プロセスを検証し,認定する。本来は業種などを問わないプログラムだが,インテルとグーグルが設立したClimate Savers コンピューティング・イニシアチブは,その中でもIT業界に特化した取り組みである。2社のほか,デル,ヒューレット・パッカード,マイクロソフト,レノボなど100社を超える企業が参加している。日本からはNEC,日立製作所,富士通などが名を連ねる。

 同イニシアチブは,2010年までに世界のコンピュータ機器使用で発生するCO2の年間排出量を5400万トン削減することを目標に掲げる。「通常のクライアントPCは,コンセントから供給された電力の約半分を,熱として消費している。また,ほとんどのユーザーは,PCの使用電力を管理していない」と,ゲルシンガー氏は問題を提起する。

 インテルは,AMDやHP,IBM,デルなどと,やはりITの環境問題をテーマにした業界団体「Green Grid」を立ち上げている。ゲルシンガー氏は,「Green GridとClimate Saversは補完的な関係にある。Green Gridでは技術的な問題を扱い,データセンターの省電力化や冷却を大きな課題と捉えている。一方,Climate Saversでは,技術だけでなくその使い方を考えていく。われわれITベンダー自身のITの使い方も,変えていく取り組みだ」と違いを説明する。「日本は環境問題の先進国。リーダーシップを発揮してほしいと考えている」(ゲルシンガー氏)。