米Microsoftは9月24日(米国時間),将来製品の重要かつ注目を集める評価版のテスター向けリリースを一気に実施した。「Windows Vista」用サービス・パック「Service Pack(SP)1」の新しいバージョンを約1万人いるテスターのごく一部に配布したほか,次期サーバーOS「Windows Server 2008」のリリース候補(RC:Release Candidate)0版という奇妙なバージョンを一般提供したのだ。

 Windows Server 2008 RC0の内容は2007年6月の評価版と大差ないものの,ささやかながら値打ちのあるコードを搭載している。Microsoftは,仮想化環境「Windows Server Virtualization」(開発コード名「Viridian」)を初めて公開したのだ(関連記事:Microsoft,「Windows Server 2008」のリリース候補0版を公開)。

 以前書いた通り,MicrosoftはWindows Vista SP1でエンドユーザーに影響するような大きな機能変更を実施しない。その代わり,システム内部に多くの修正を施して,特定の状況における応答性と信頼性の向上を図る。Microsoftによると,スリープ状態からの復帰にかかる時間が大幅に短縮されるという。さらにMicrosoftは「これまでのWindows向けサービス・パックと同様,Windows Vista SP1も最終的にはWindows Update経由でユーザーに配布する」としている。企業ユーザーは,SP1の自動適用機能を止めることが可能だ。

 それに対しWindows Server 2008 RC0は,パフォーマンス改善と最終調整を主眼としている。ただしRC0は,Windows Server Virtualizationのプレビュー版が搭載されたという大きな意味を持つ,待望のリリースと言える。Windows Server Virtualizationをインストールするには,まず64ビット版のWindows Server 2008 RC0を導入したうえで,特定の操作を行う必要がある。Windows Server Virtualizationの技術解説とインストール方法については,SuperSite for Windowsに掲載した筆者の記事「Windows Server Virtualization Preview」を読んでいただきたい。

 Windows Vista SP1とWindows Server 2008は,いずれも2008年第1四半期リリースの予定である。Windows Server Virtualizationも,同じ時期に正式なベータ版となる。しかしWindows Vista SP1は,正式リリースの前に“準公開ベータ版”が提供されるだろう。Microsoftは2007年中に準公開ベータ版を配布するとしている。