NTT東日本が法人向けの営業とネットワーク/システム構築の部隊を分社化したことが本誌の取材で分かった。9月初めにNTT東日本ソリューションズを設立し、10月1日から本格営業を開始する。大幅な組織変更は今回が2度目。06年には、1000人強の法人担当者をNTTコミュニケーションズに移籍させている。

 組織的には、NTT東日本のビジネスユーザー事業推進本部と、東京エリアにある子会社の法人営業部隊を統合する。社員の大半は、新会社への出向の扱いとなる。従業員数は約1200人となり、SIベンダーとしてはネットマークスを超え、SRAやアルゴ21に匹敵する規模である。

 NTT東日本は9月中旬から分社化について顧客への説明を開始している。当面の間、顧客は従来通りNTT東日本と契約し、NTT東日本がNTT東日本ソリューションズに業務を委託する。分社化の目的についてNTT東日本は、グループ内の法人部隊を集約し窓口一本化することでの営業力強化を掲げている。06年のNTTコムへの移籍は、民間の大手企業の法人担当を中心に、NTTグループ内での競合を排除するのが目的だった。新会社はNTT東日本グループにおける退職者の再雇用の受け皿にもなる見通しだ。

 NTT東日本ソリューションズは、法人顧客の拠点間ネットワークの構築やデータセンターの提供、IP電話の導入といった案件を手掛ける。大規模な情報システムの構築では、SIベンダーと連携する。NTTグループが来年初頭に始める予定の次世代ネットワーク(NGN)を活用したネットワーク/システム構築が、今後の柱の1つとなる。この際、NTT法の規制下にあるNTT東日本の本体に比べて、より柔軟性を持った顧客への提案が可能となる。

 今回の分社化について大手ITベンダーの幹部は「データセンターと回線の両方を持つNTT東日本が法人部門を強化するのは我々にとって脅威だ。アウトソーシング・サービスでの競合が激化する可能性もある」と見ている。