総務省は2007年9月25日,ケーブルテレビ(CATV)による地上波放送の再送信の在り方を検討する「有線放送による放送の再送信に関する研究会」を立ち上げると発表した。10月5日に初回会合を開催する。CATVによる地上波放送の再送信に関する現状の把握や課題の洗い出しなどを行い,課題を解決するための対策を検討するのが目的である。2008年3月ごろをメドに,対策を盛り込んだ報告書をまとめる予定である(発表資料)。

 CATVによる地上波放送の再送信については現在,地上デジタル放送の番組をCATV事業者が地上波放送の免許エリア(県域や広域)を越えて送信する「区域外再送信」の是非が,CATV事業者と地上波民放事業者との間で大きな問題になっている。大分県のCATV事業者4社が自社のサービスエリア内で,福岡県の地上波民放事業者4社の地上デジタル放送を再送信することを,総務省が2007年8月17日に大臣裁定の形で認めたからだ。こうした総務省の判断に対して地上波民放事業者は,「地上波放送の地域免許制度と相いれないもので,抜本的な見直しを総務省に求めていく」(日本民間放送連盟)と反発していた。

 CATVによる地上デジタル放送の区域外再送信は大分県のケースにとどまらず,ほかの地域のCATV事業者も乗り出す可能性が大きい。こうした状況を受けて総務省は,今回の研究会を立ち上げることにした。研究会は伊藤晋・東京理科大学理工学部教授や音好宏・上智大学文学部教授,長谷部恭男・東京大学法学部教授,山下東子・明海大学経済学部教授など11人の有識者で組織する。