「中国の携帯電話市場において、中国メーカーは軒並みシェアを減らしている。老舗メーカーしか市場には残れないだろう」――9月上旬に中国の調査会社、賽迪顧問(CCID Consulting)、易観国際(Analysys International)、賽諾(Sino Market Research)の3社が、それぞれ発表した2007年上半期の中国国内の携帯電話市場報告では、このような観測が語られている。

 現在、中国国内の携帯電話市場のメーカー別シェアは、どの調査会社の報告書でも同じで、1位がノキア、続いてモトローラ、サムスン電子、ソニーエリクソンと外国メーカーが上位を占めている。これら4社で中国携帯電話市場の大部分を占めている(トップ4社のシェアは、例えば賽迪顧問によると70.7%、易観国際によると64.3%)。中国メーカーはトップ4社の後に華為、波導、レノボと続くが、中国メーカートップの華為でも、シェアは5%程度にとどまっているという。

 これまで中国メーカーは低価格を売りにしていた。しかし、国外のトップ4メーカーも低価格競争に参入し、双方の価格差が小さくなったことで、国外メーカーの製品に人気が集まった。現在、中国メーカーのシェアは縮小の一途をたどっている。多くの中国メディアは、中国の携帯電話メーカーは冬の時代を迎え、力のないメーカーはさらに厳しい局面に立たされるだろうと分析している。

 9月に開催された会議「2007年中国携帯電話市場年会」上で、中国信息産業部の担当者である周子学氏は、この現状を打開する策として中国独自の3G規格である「TD-SCDMA」に期待を寄せるコメントをしている。中国メーカーが先行してTD-SCDMA端末を開発することで、国外メーカーに先んじてシェアを取れるだろうというのだ。実際、波導は2004年以来、TD-SCDMA向け携帯電話端末の開発のために、中国国家発展和改革委員会から1000万元の投資を受けている。

 TD-SCDMAの普及によって、中国メーカーが携帯のシェアを伸ばして救済される、というのが中国側の理想だ。この狙い通りにいくのか、TD-SCDMAの普及に向けての動きが注目される。