『弟切草』や『かまいたちの夜』などの名作サウンドノベルの生みの親であるチュンソフトが開発しセガが販売を行う最新作『忌火起草(いまびきそう)』がこの秋発売となる。ゲームショウのセガブースにも、本作のパビリオンが設置され、5.1ch環境の真っ暗な部屋で試遊することができる。この『忌火起草』の開発プロデューサーにして、チュンソフト社長の中村光一氏が、本作の詳細についてステージで語った。

▲社長業のかたわら、現場で同社作品すべてのプロデュース業も行う中村氏。人を楽しませるために情熱を注ぐ人物だ

 「テキストを読み進めながら、分岐点で選択肢を選んで進めていく『サウンドノベル』というジャンルを確立した『弟切草』の発売から、今年で15周年を迎えます。この『忌火起草』はこれまでのサウンドノベルのノウハウを詰め込んだ集大成で、恐怖の表現をとことん突き詰めたホラー作品です。実写の人間が演じることで感じる生々しい恐怖と、CGで表現した恐怖を融合させて、PS3でしか表現できない恐怖映像を体験できます」

 PS3の映像表現があったからこそ完成したという本作。それともう一つ、恐怖を演出するうえでの要となる音については、かなり力を入れているのだとか。

 「サウンドについては、今回最も力を入れたところで、突然背後で聞こえる声や耳元で囁かれる声、自分を通過していく音など、ドルビーデジタルの5.1chサラウンドで恐怖を演出しています。それと今回はセリフはすべてフルボイスになっています。耳ではセリフを聞きながら、目では物語を読むという、これまでのサウンドノベルとは違う感覚で楽しめます」

▲ 従来のサウンドノベルのスタイルと、『忌火起草』でのスタイルの違いを実際の映像で比較した。本作ではセリフは画面に一切表示されない ▲ 主人公は「ビジョン」なるドラッグを巡って、戦慄の体験をすることとなる。選ぶ選択肢によって変わっていくストーリーももちろん健在だ

 なお本作は、先にSCEより発表された「デュアルショック3」の振動機能にもいち早く対応し、恐怖を味わうための演出に一役買っている。チュンソフトらしいこだわりを詰め込んだ本作への意気込みを、中村氏は最後にこう語った。

 「この『忌火起草』は、シナリオ・映像・音に最高のこだわりをつぎ込んで、最高の恐怖が仕上がったと思っています。内容を知っているわたしがテストプレイをしても、夜眠れなくなってしまうほどの怖いシナリオになっています。セガブースにもタッチ&トライコーナーを用意していますので、実際に手にとって体験していただければと思いますね」

 セガブースには、専用のシアターと試遊台をつなげたパビリオンが用意されている。中は真っ暗で、試遊台は個室に5.1chスピーカーが装備され、恐怖を味わうにはもってこいのシチュエーションだ。暑い会場でちょっと涼みたくなったなら、ぜひブースに足を運んでみよう。

▲ 恐怖を味わいたい人が数多く並ぶ、セガの『忌火起草』パビリオン。体験後はプロモーション映像が収録されたDVDがもらえる

▲ パビリオン入り口に飾られた青白く光る絵。ゲームの映像にも映っていたこの絵に一体どんな意味があるのか……!?

▲ 個室に入ると、後ろのカーテンを閉められてしまう。サラウンドで後ろから聞こえた声に、筆者も思わず振り返ってしまった……