UMPCなどのプラットフォームを開発するモビリティグループを率いるアナンド・チャンドラシーカ副社長。IDFで2日目の基調講演を務めた
UMPCなどのプラットフォームを開発するモビリティグループを率いるアナンド・チャンドラシーカ副社長。IDFで2日目の基調講演を務めた
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次期UMPCのプラットフォーム「Menlow」。現行よりもさらにサイズが小型化され、かつ消費電力も10分の1になる
次期UMPCのプラットフォーム「Menlow」。現行よりもさらにサイズが小型化され、かつ消費電力も10分の1になる
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基調講演ではMenlowを搭載した機種を展示した
基調講演ではMenlowを搭載した機種を展示した
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アナンド・チャンドラシーカ氏が見せた携帯型デバイス。Moorestownを搭載することを想定している
アナンド・チャンドラシーカ氏が見せた携帯型デバイス。Moorestownを搭載することを想定している
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 インテルは2007年9月19日、サンフランシスコで開催している開発者向け会議(IDF)で、超小型パソコン「UMPC(ウルトラモバイルパソコン)」の次期プラットフォーム「Menlow(メンロー、開発コード)」について詳しく語るとともに、2009年から2010年にかけて投入する2世代先のUMPCプラットフォーム「Moorestown(ムーアズタウン、開発コード)」について初めて明らかにした。これは、IDF2日目のアナンド・チャンドラシーカ副社長の基調講演で明らかになった。同氏は、UMPCやさらに小さい携帯デバイス向けのCPUを開発しているウルトラモビリティグループを率いている。

 同氏の講演テーマは「解放されたインターネット体験」というもの。講演の冒頭で、なぜインテルがUMPCやさらに小型のデバイスに取り組むのかについて語った。現在、ノートパソコンや小型の携帯機器において必要なのはインターネットをフルにアクセスできる機能であり、インターネットこそがキラーアプリケーションであると説明。携帯電話や情報携帯端末(PDA)など多くの携帯機器にインターネットアクセス機能は備わっているが、半分以上のユーザーは使っていないというデータを示した。その理由は「ソフトウエアの互換性に問題があるから」だと言う。

 つまり、パソコンと同じような操作体系やソフトウエアが用意されていないことこそが原因であるとし、それをアドビ システムズのFlashを例に説明した。アドビ システムズのFlashは、すでに携帯機器向け版が提供されているが、パソコン版との間に2年ほどの機能差がある。このため、携帯ユーザーは最新のソリューションを利用できず、互換性などに問題が出てくるのだという。

 同氏が提示した解決策は、すべての携帯機器にパソコンと同じアーキテクチャーを持つIAデバイスを採用すること。その一つとして、2008年上期にUMPC向けの新しいプラットフォーム「Menlow」を投入することを明らかにした。Menlowは、現行のUMPCプラットフォーム「McCaslin」に比べて、パフォーマンスが10%程度向上。消費電力は10分の1、チップサイズは4分の1になる。同氏は実際にデモを行い、開発が順調であることを示した。

 その先のロードマップも初めて公開した。2009年から2010年にかけて投入する新しいプラットフォームの開発コードは「Moorestown」。45nmプロセスで製造し、コアやメモリーコントローラー、グラフィックス、動画のエンコード機能などを1つのチップに組み込む。これによって、待機時の消費電流をMenlowの10分の1にできるという。現在のプラットフォームは待機時の消費電力が比較的大きく、携帯電話などの携帯デバイスには搭載しにくいと言われている。Moorestownの登場により、流れが変わる可能性もありそうだ。

 同氏は、MoorestownはUMPC以外の携帯デバイスにも搭載すると語った。その例として、横長の画面を持つ携帯電話のような携帯デバイスのモックアップを手にしながら、「互換性を維持しながら、技術を発展させていく」とIAデバイスの分野を広げていく姿勢を見せた。

 今回の基調講演では、インテルのIAアーキテクチャーをあらゆる機器に入れていくという狙いが改めて明らかになった。従来は消費電力の問題やサイズの点から携帯機器には専用のチップを使い、パソコンと操作性が異なるのことが当たり前だった。インテルの狙いが当たれば、どんな機器を使ってもパソコンと同じように使える時代が数年後には到来するかもしれない。