オープンソース・ソフトウエアの法律問題を手がける米国の団体Software Freedom Law Center(SFLC)は米国時間9月19日,米Monsoon MultimediaがオープンソースUNIXユーティリティ・ソフトウエア「BusyBox」を利用する際ソフトウエア・ライセンスGeneral Public License(GPL)に違反したとして,ニューヨーク州南地区米連邦地方裁判所に提訴した。SFLCが9月20日に明らかにしたもの。

 BusyBoxはオープンソースのUNIXユーティリティ・パッケージ。ライセンスはGPL version2(GPLv2)。組み込みシステムで多く利用されている。

 SFLCによると「Monsoon Multimediaは自社製品やファームウエアにBusyBoxを組み込んでいるとWebサイトで公表しているが,GPLで規定されている対象ソースコードへのアクセス手段を提供していない」という。GPLでは,BusyBoxなどのライセンス適用ソフトウエアを再配布する際の条件として,ソースコードの提供が必要とされる。

 SFLCは,BusyBoxの主要開発者2人を代表する形でMonsoon Multimediaを訴えた。BusyBox開発者で原告団に加わったErik Andersen氏は「ユーザーがBusyBoxのソースコードを自由に閲覧して改造できるようにするため,GPLを採用した。このライセンスの“公正条件”を守らない企業が現れた場合は,我々の弁護士に提訴するよう依頼し,条件履行を強制するしかない」と述べる。

 原告側はMonsoon Multimediaに対し,BusyBoxの使用禁止と損害賠償および訴訟費用の支払いを求めた。SFLCはWebサイトに訴状(PDF形式)を掲載している。なお米国でGPL違反にもとづく著作権侵害訴訟を起こした事例は,今回が初めてという。

 米メディア(CNET News.com)によると,Monsoon Multimediaはパソコンやテレビでビデオを再生するためのデジタル家電製品を手がけている企業という。

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