網屋で代表取締役を務める伊藤整一氏
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メトロジーで取締役を務める公認会計士の菅原洋氏
メトロジーで取締役を務める公認会計士の菅原洋氏
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 内部統制関連事業の2社,網屋とメトロジーは9月21日,企業が日本版SOX法(J-SOX)に対処するために必要な体制作りを支援するサービスをオール・イン・ワン・パッケージ化したと発表した。サービス名称は「MAXIM-Suite」で,主な販売対象である中小企業が導入しやすいように,サービス内容と価格体系をメニュー化した。販売窓口は網屋が担当する。価格は,導入コンサルティングが430万円,運用管理ソフトが月額20万円からなど。

 MAXIM-Suiteは,中小企業を主なターゲットとした日本版SOX法対策支援サービスである。数百万円程度の価格帯で日本版SOX法に対処するための体制作りをカバーできることを狙っており,サービス・メニューを体系化/パッケージ化しているのが特徴。IT/セキュリティ関連の内部統制に強いコンサルティング会社の網屋と,会計士を抱え文書化支援ツールや業務定義テンプレートなどを擁するメトロジーの2社のサービスを融合させた。販売会社の網屋では,個別対応による既存のフル・コンサルティング・サービス(3000万円から)と並存する形で,より購入しやすいサービスとしてMAXIM-Suiteを位置付ける。

 網屋で代表取締役を務める伊藤整一氏は,現状の日本版SOX法対策の問題点について,費用が高額であることや,製品が文書作成やITセキュリティなどバラバラに提供されており,日本版SOX法の監査に対処するために必要な要素がワン・ストップで提供されていない点を指摘する。「大企業には個別対応で年間数億円をかけて内部統制体制を構築するところもあるが,中小企業が安価に購入できるパッケージ・サービスはこれまでなかった」(伊藤氏)。

 メトロジーで取締役を務める公認会計士の菅原洋氏は,「70%の会社がJ-SOX対策に未着手であり,対策の整備を済ませた企業でも,運用には至っていないケースが多い」と,J-SOX対策が進んでいない状況を指摘。この理由として,会計士が有価証券報告書の監査で精一杯でJ-SOXまでやっている余裕がない点や,監査対象となるユーザー企業の体制が整っていない点を挙げる。大企業などはコンサルタントへのアウトソーシングで対応していたが,「ユーザー企業が自ら自律的に内部統制の体制を構築し運用する仕組みが求められている」(菅原洋氏)と,パッケージ・サービスであるMAXIM-Suiteの需要の高さを指摘する。

 MAXIM-Suiteで提供可能なサービスは,J-SOX対策のために必要と考えられる,監査法人が納得するであろう内部統制メニューを揃える。業務改善系のサービスとしては,現状の診断,文書化支援,業務プロセスを定義したテンプレートの導入,運用の支援などがある。IT/セキュリティ系のサービスとしては,情報セキュリティ・マネジメント・システム(ISMS)の構築,アクセス権限管理やログ監査,システム/ネットワーク・インフラの強化,SLA(サービス・レベル契約)診断などがある。

 価格は,導入時の診断サービスが無料,会計士とのやり取り6回分を含んだJ-SOX対策テンプレートの導入が430万円,J-SOX対策の整備,運用,改善が,会計士とのやりとり15回を含んで1200万円,範囲をIT/セキュリティ関連に限定した運用が430万円,文書化支援など個別オプションが月額30万円から,など。