写真1●左からテクモの佐々木憲太郎執行役員,ガンホーの森下一喜社長,マイクロソフトの坂口城治Xbox マーケティング本部長
[画像のクリックで拡大表示]
 幕張メッセで開催されている「東京ゲームショウ2007」で9月20日,テクモ,ガンホー・オンライン・エンターテイメント,マイクロソフトの3社が,オンライン・ゲームに関する取り組みについて講演した(写真1)。

 「オンライン・ゲームをどのようなビジネスモデルで提供するか」「定額課金からアイテム課金への移行は単純にはいかない」「オンラインの付加価値サービスがビジネスモデルを変える」など,オンライン・ゲームへの期待と課題が浮き彫りになった。

 「当社がオンライン・ゲーム事業立ち上げにあたって運営会社と提携したのは,立ち上げのスピードとコストを重視したからだ。運営のスキームは,そういいった会社に任せて,ゲームの開発に専念できる」。まず登壇したテクモの佐々木憲太郎執行役員は,同社がオンライン・ゲーム市場に参入した経緯を説明した。「現在は,蓄積した運営会社との連携ノウハウを,ほかに展開できないかを追求している」(佐々木氏)という。

 その一つが,オンライン・ゲーム運営会社のSeedCと提携して2006年10月に稼働したオンライン・ゲーム基盤サービス「Lievo」である。課金やID管理の仕組みを,日本だけでなく世界中のクリエイターやゲーム会社に対して提供する,「ゲームのオンライン化は緩やかに進み,市場は世界に広がり始めている。テクモのメッセージを世界中に伝えるためにも,オンライン化,グローバル化への取り組みを強化したい」(佐々木氏)。

 次に壇上に上がったのは,ガンホーの森下一喜社長。「オンライン・ゲームに,アイテム課金という流れができつつある。ゲーム自体は無料でゲーム中で使うアイテムなどを有料で提供するものだ。しかし定額制を採っている当社はどうすべきか悩んでいる」と打ち明ける。

 森下氏によると,オンライン・ゲームが登場した2002年頃は,多くのユーザーを確保することで客単価を低く抑えていたが,今は少数のユーザーを獲得し,高い客単価でサービスを提供する方向性が生まれているという。しかし「本当にアイテム課金でいいのかという疑問はある。たくさんのアイテムを購入してもらために何をすればよいかを,緻密に計算しなくてはならない。ゲームを通して感動を伝えたいといった思いと両立するのか,という懸念もある。明快な解はなく難しい問題だ」(森下社長)。


写真2●自作したレース用自動車をオークションに出品できる「Forza Motor Sport 2」
[画像のクリックで拡大表示]

 最後に登壇したマイクロソフトの坂口城治Xbox マーケティング本部長は,「オンラインの付加価値サービスは,ゲームのビジネスモデルを大きく変える可能性を秘めている」と指摘する。同社が「Xbox360」向けに提供している「Xbox Live」について,「ゲームの配信はもちろん,この東京ゲームショウにおける記者会見の映像を字幕付きで世界に配信するといったサービスなど,多様なサービスを提供している」と紹介。「Xbox Liveのようなネットを利用したサービスはどんどん進化している」という。

 たとえば,2007年5月に発売した「Forza Motor Sport 2」では,ゲーム内で自作したレース用自動車を,オークションで他人に譲ったり入手したりできるようにしている(写真2)。自慢の自動車の画像をインターネット上のWebサイトにアップロードする機能もある。「オークションには累計700万以上の自動車が出品された。オンライン・ゲームでも,ユーザーが作成したコンテンツがネットを介して流通するようになった」(坂口本部長)。

 また,ゲーム用の追加アイテムやコンテンツをXbox Liveで販売し,大きな収益につなげているケースもあるという。「ゲームのパッケージそのものはこれまでよりも低い価格設定にし,むしろ追加のコンテンツで売り上げを2倍3倍にすることが可能になってきた。ビジネスモデルが変わる可能性を秘めている」(坂口本部長)という。