米IBMは9月18日(米国時間),新たなLinuxおよびWindows向け無償オフィス・プロダクティビティ・スイート「Lotus Symphony」(公開ベータ版)の提供を開始した(関連記事:IBM,オフィス・アプリ・スイート「Lotus Symphony」を無償公開)。同スイートは,この分野でオープンソースの「OpenOffice.org」と米Sun Microsystemsの「StarOffice」に続く3番目の主要ソフトウエアとなる。実質的にOpenOffice.orgスイートをベースとするのだが,IBMはその点をほとんど強調していない。これら3種類のスイートは,有力な文書フォーマットであるMicrosoft Office形式の代わりにオープンソース文書フォーマットOpenDocument Format(ODF)を支持しているものの,Microsoft Officeで作成した文書も上手く扱える。

 スイートで提供されるアプリケーションは,ワープロと表計算,プレゼンテーションの3種類となる。10年以上前,IBMはSymphonyという名前をLotusブランドのオフィス・プロダクティビティ・スイートで初めて使った。Symphonyという名称は同じでも,今回の新スイートと当時Lotusブランドで販売していた「Lotus 1-2-3」などの製品との共通点は非常に少ない。ただしOpenOffice.orgおよびStarOfficeと比べると,はるかに魅力的であり,細かいところまでよく作り込まれている。

 新たにもう一つOpenOffice.orgの派生スイートが必要とさているかどうかは不明だが,IBMがLotus SymphonyとOpenOffice.org側に立つことの意味は大きい。当然ここで浮かぶ疑問は,「何らかの無償オフィス・プロダクティビティ・スイートが,大きなリードと豊富な機能を持つMicrosoft Officeに食い込めるのか」ということだ。OpenOffice.orgおよびStarOffice,そして現在ベータ版のLotus Symphonyはいずれも基本的な機能を備えているにもかかわらず,Microsoftから“画期的な”製品として発売され,ついにベストセラーとなった「Office 2007」スイートで広げられた差をあまり縮めていない。