米インテルは9月19日(米国時間),米サンフランシスコで開催中の「IDF(Intel Developer Forum)」にて,超小型モバイルPCの「UMPC(Ultra-Mobile PC)」,そしてさらに小型化を図った機器である「MID(Mobile Internet Device」の開発方針を発表した。

 2008年前半には小型インターネット・デバイス向けプラットフォーム「Menlow(開発コード名)」を投入する。新開発の小型プロセッサ「Silverthrone(開発コード名)」を中心に無線通信モジュールや周辺チップを載せたもので,最新の45nmの製造プロセス・ルールを使うことで,消費電力の低減,処理性能の向上,実装面積の縮小を狙う(45nm製造プロセス・ルールについての関連記事)。

 富士通や韓国Samsung Electronics,台湾ASUSなどから,Menlowを使ったUMPCが発売される予定である。基調講演壇上では,各社が開発した試作機を展示した(写真1)。

写真1●2008年前半に各社から登場する予定のUMPCを背に講演する米インテルのアナンド・チャンドラシーカ氏
写真1●2008年前半に各社から登場する予定のUMPCを背に講演する米インテルのアナンド・チャンドラシーカ氏 [画像のクリックで拡大表示]

 携帯電話の高性能化が進む中,UMPCやMIDの市場は果たしてどれだけ存在するか。同社シニアバイスプレジデントのアナンド・チャンドラシーカ氏は,「携帯電話が搭載する,機能が制限されたWebブラウザで満足している人はあまりいない」と述べる。その上で,携帯電話でWebブラウザを使っているユーザーの割合が6割程度という調査機関のアンケート結果を紹介した。

 併せて,ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など双方向性を重視したコンテンツ,YouTubeなどの動画コンテンツの広がりを指摘する。「外出先でも,通常のPCと変わりなくリッチなインターネット・コンテンツにアクセスできる小型デバイスが求められている」(チャンドラシーカ氏)。

 通常のノートPCとの住み分けはどうか。「ポケットからすぐに取り出してインターネットにアクセスしたいというニーズはある。様々な可能性やオプション(選択肢)を提示するのが大切だ」とチャンドラシーカ氏は言う。

 Menlowの次期バージョンとなる「Moorestown」についても簡単に紹介し,利用シーンやイメージのイラスト,モックアップを提示した(写真2)。Moorestownはシステム・オン・チップ(複数機能を集積したチップ)の採用で,消費電力の削減と小型化を狙う。消費電力量はMenlowの10分の1にまで削減するという。Moorestownの登場は2009年以降になる見込み(Moorestownについての関連記事)。

写真2●Menlowの次期バージョンである「Moorestown」の利用シーンやイメージのイラスト 写真2●Menlowの次期バージョンである「Moorestown」のモックアップ
写真2●Menlowの次期バージョンである「Moorestown」の利用シーンやイメージのイラストとモックアップ[画像のクリックで拡大表示]

 チャンドラシーカ氏は「新しいデバイスを提供することで,新しい市場が開ける。(表示や機能などの限定がない)フル・インターネットがいつどこでも使える環境をUMPCやMIDで提供する」と語る。