ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長は,「東京ゲームショウ2007」の基調講演で,PLAYSTATION 3の戦略を説明した
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長は,「東京ゲームショウ2007」の基調講演で,PLAYSTATION 3の戦略を説明した
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 「より楽しいゲームの世界を実現するために,今まで以上にゲーム開発者やユーザーの声に耳を傾ける。その取り組みの一例が,今日発表したPLAYSTATION 3用の振動機能付きコントローラだ」---ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長は9月20日,「東京ゲームショウ2007」の基調講演で,PLAYSTATION 3の戦略を説明した。

 平井社長は基調講演で,「PLAYSTATION 3はゲーム機であり,楽しいゲームを送ることがわれわれの最重要課題だ」と強調する。PLAYSTATION 3は2006年11月の発売以来,全世界での累計販売台数が500万台を超えた。この数字を2008年3月までに1100万台まで伸ばすために,特にゲーム機としての魅力を訴求していく考えだという。

 また平井社長はSCEの今後の戦略として,(1)ゲーム開発者の声に耳を傾け,開発環境の改善を進める,(2)SCE自身によるゲーム・タイトルの制作を強化し,PLAYSTATION 3の魅力を訴えられるソフトを充実させる,(3)半導体のシュリンクや部品点数の削減を通じてPLAYSTATION 3ハードウエアのコストダウンを図る,(4)ユーザーの声に耳を傾ける--ことを挙げた。

 (1)の開発者支援に関しては,SCE内のゲーム開発スタジオのノウハウを,サード・パーティの開発者に公開していくことや,開発者の意見を聞く「アドバイザリ・ボード」を定期的に開催すること,SCEが買収した開発ツール会社SN Systemsのものを含む,改善された開発ツールの提供などが主な内容となる。

 (2)のSCEによるゲーム開発の拡充に関しては,同社が9月18日に,「ワールド・ラリー・チャンピオンシップ」のような数百万本規模の人気タイトルの開発実績があるゲーム開発企業である英Evolution Studiosを買収したことを明らかにした。

 (3)のコストダウンに関しては,今回の基調講演での価格引き下げのアナウンスはなかった。これに関して平井社長は基調講演後の質疑応答で,「(昨年の東京ゲームショウの基調講演でPLAYSTATION 3の価格引き下げを発表したことを受けて)2年連続だとパターン化するので,そういったサプライズは無い。しかし正直な話,価格は常に質問を受けるし,価格はとても大事だと認識している。それでも急務は,ソフトウエアがどれだけ揃っているかであり,今はそちらに注力する」と語っている。

 (4)のユーザーの声に耳を傾けるという点に関しては,記事の冒頭で紹介したように,PLAYSTATION 3用に振動機能付きのコントローラを追加する(オプションとして発売する)ことを明らかにした。同コントローラは日本では11月に,北米と欧州では2008年春に発売する予定で,価格は未定だ。東京ゲームショウに出展されている9タイトルが,すでに振動機能に対応しているほか,ネットワーク・アップデートによって,既存タイトルも振動機能に対応できるという。

 このほか平井社長は,PLAYSTATION 3用のオンライン・ストアである「PLAYSTATION Store」を,パソコンからも利用できるようにすることなどを発表している。基調講演の詳報は,追ってお伝えする予定だ。