写真1●メインステージのパネルディスカッションの模様。左からD4DR代表取締役社長藤元健太郎氏,Eビジネス研究所/ユニバーサルステージ代表取締役木村誠氏,シンク代表取締役森祐治氏
写真1●メインステージのパネルディスカッションの模様。左からD4DR代表取締役社長藤元健太郎氏,Eビジネス研究所/ユニバーサルステージ代表取締役木村誠氏,シンク代表取締役森祐治氏
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写真2●みるガレージの様子。コンテンツを投影したディスプレイをガレージいっぱいに展示した
写真2●みるガレージの様子。コンテンツを投影したディスプレイをガレージいっぱいに展示した
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写真3●さわるガレージの様子。展示した機器でコンテンツを操作できる
写真3●さわるガレージの様子。展示した機器でコンテンツを操作できる
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写真4●つくるガレージの様子。クリエイターがデモンストレーションを行う
写真4●つくるガレージの様子。クリエイターがデモンストレーションを行う
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 マイクロソフトは2007年9月19日に東京国際フォーラムで,Web関連カンファレンス「REMIX07 TOKYO」開催した。カンファレンスでは,講演やセッション,展示会などのほか,展示会スペースに設置されたメインステージで次世代に求められるモノ作りのアイデアを共有する様々なプログラムが行われた。

 今年の見所は「なんといってもSilverlight」(同社デベロッパー製品部シニアプロダクトマネージャーの竹内洋平氏)。この1年でSilverlightやWPF(Windows Presentation Foundation)などの,ユーザー・エクスペリエンスを実現する新しい開発・実行環境がリッチメディアとして「土俵に立てた」(竹内氏)手ごたえを感じていると言う。Silverlightは現在JavaScriptでの開発が中心だが,今年中にリリースを予定しているバージョン1.1はVisual BasicやC#などの .NETベースのプログラミング言語を利用できるようになる。「これを転機として,よりしっかりした地盤を作りたい」(同氏)と期待を込めた。

 展示会スペースに設置されたメインステージでのプログラムで印象深かったのは,「Web2.0時代におけるイノベーションの登場とそのインパクト」と題したパネルディスカッション。D4DR代表取締役社長,藤元健太郎氏,Eビジネス研究所/ユニバーサルステージ代表取締役木村誠氏,シンク代表取締役,森祐治氏の3名が登壇した(写真1)。

 モデレータ役の藤元氏は冒頭,Web2.0の意味を「情報の部品化と流通のインフラが整った状態のこと」と説明。そのうえでIT技術を利用したサービスの提供は,ユーザーとサービスをつなぐインタフェースとコンテクストの設計が重要だとした。また藤元氏は利用シーンごとにユーザーがアプリケーションを選択していた時代から,ユーザーの状況に合わせてインタフェース,サービス,データが有機的に対応する時代へ変わりつつあると予測する。

 次に木村氏が,昨年から市場の注目がWeb2.0から「セカンドライフ」などのメタバースへ移行しつつある点を指摘しながら,こうした比較的新しいと受け止められているテクノロジのライフサイクルは現在どのあたりにあるのだろうか,と問題提起をした。これに対して森氏は,セカンドライフなどハードの中で展開する技術について関心を向けるのは「どうでもよいこと」と言い切る。それよりも,リアルな日常の生活にテクノロジがどう入り込み,かかわっていくのかに目を向けるべきだと主張した。

 PCベースのテクノロジのライフサイクルについて木村氏は,現在が「みんな使っているから使う」というレイト・マジョリティの段階であると分析。対する森氏は「技術としてはすでに普及し尽くした,ラガードな状態」とした。そのような現状で注目すべきはやはり日本のクリエイターの,ストーリー作りの妙技だと森氏は期待する。特にネット上で展開する無数のアニメーション(ネトアニ)クリエイターなどは心強い存在だと語り,技術よりも発想力といったクリエイティビティが重視されるモノづくりの今後を説明した。

 今後の課題と指摘したテクノロジとリアルな日常の接点はどこか,という藤元氏の問いに対し森氏は,モバイルは重要としながらも「ケータイというハードの中で何ができるかという議論になるのは良くない」と指摘する。それよりも看板にかざすことで情報が取れるといったリアルな活用法が,ユーザーのニーズを発端として形作られることが重要だとした。

 REMIX07 TOKYOの展示会場ではメインステージのほかに,Web経由で配信される高細密映像などのデモンストレーションを展示した「みるガレージ」や,Xbox360や,写真コミュニティのPhotosynthなどの操作を体験する「さわるガレージ」,さらにSilverlightやWPFを使いコンテンツを開発する方法を,クリエイターがデモンストレーションする「つくるガレージ」の3ブースを用意(写真2~4)。ほかに,協賛企業による展示ブースも設置された。