画面●WMware Workstation 6(日本語版)の実行例
画面●WMware Workstation 6(日本語版)の実行例
[画像のクリックで拡大表示]

 ヴイエムウェアは9月19日,デスクトップ向け仮想化ソフトの新版「VMware Workstation 6(日本語版)」を出荷した。Windows Vistaを新たにサポートしたほか,統合開発環境(IDE)との連携など開発/テスト環境としての機能強化を図った。また,試験的サポートという位置づけではあるが,準仮想化したOSも実行できるようになった。

 VMware Workstationは,デスクトップやノート型のパソコン上に仮想環境を提供するソフト。ホストOS上に複数の仮想マシンを設け,それぞれの仮想マシンでOS(ゲストOS)を稼働させられる。今回,ホストOSおよびゲストOSとしてWindows Vistaのサポートを加えた(画面)。また,仮想マシン上で稼働する異なるOS間で,ファイルのドラッグ&ドロップが可能になった。

 開発/テスト環境としての機能強化は主に3点。(1)統合型仮想デバッガ,(2)自動化API,(3)仮想マシンの記録再生(試験的サポート),である。(1)は,ホストOS上のIDEから仮想マシン上で動作するプログラムのデバッグを可能にし,テスト時間の短縮を図った。利用可能なIDEは,EclipseおよびMicrosoft Visual Studioである。

 (2)は,VIX API 2.0をサポートし,仮想マシンのテストが自動化できるようになった。(3)は,仮想マシンの実行状況を記録しておき,あとで再生するための機能。「CPUの命令レベルで記録,再生できるので,仮想マシン上のデバッグが容易になる」(システムズエンジニアリング マネージャ 平谷靖志氏)。

 完全仮想化に加えて,準仮想化が新たにサポートされた。仮想化の方式には,完全仮想化と準仮想化がある。完全仮想化は,ハードウエアをソフト的にエミュレーションして,その上でゲストOSを稼働させる。一方,準仮想化はゲストOSを修正して用いることで,エミュレーションのオーバーヘッドを省いている。そのため一般に,準仮想化の方が完全仮想化よりも性能は高い。ただし今回のサポートは試験的という位置づけであり,「発生した問題に対してソフトの修正を約束するものではない」(平谷氏),という点には注意しておきたい。

 そのほか,物理マシンから仮想マシンへの移行ツール(P2V)を同こん。また,VMware Workstationのインタフェースを隠し,仮想マシンをバックグラウンドで実行する機能なども加えた。

 VMware Workstation 6(日本語版)に合わせて,デスクトップ環境を仮想化してパッケージングするソフトの新版「VMware ACE 2 Enterprise Edition(日本語版)」も出荷された。新版では,暗号化機能の強化といったポリシーの改善が図られた。

 VMware ACEは,OSをはじめデータやアプリケーションなどのPC環境を仮想マシンとしてパッケージングするためのソフト。ユーザーは,作成したパッケージをライセンスがある任意のPCに配置して利用する。パッケージはUSBフラッシュドライブなどのポータブル・メディアに入れて持ち運ぶことができる。

 VMware ACE 2を使ってデスクトップ環境を仮想化するには,VMware Workstationが必要であり,そこに「VMware ACE Option Pack」と呼ぶオプションを追加する。パッケージングの手順は,VMware Workstationで仮想マシンを作成し,管理ポリシーを加えてパッケージにまとめる。ポリシーとは,作成した仮想マシンの有効期限やコピーの可否,などを定めたものである。

 パッケージングした仮想マシンは,PCやポータブル・メディアに展開する。PC上で稼働させた仮想マシンのポリシーは,VMware ACE Management Serverで集中管理が可能。ポリシーを変更する際は,Management Serverから仮想サーバーに対して新たなポリシーを配信できる。