写真●日本アスペクト・ソフトウェアの小枝逸人社長
写真●日本アスペクト・ソフトウェアの小枝逸人社長
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 コンタクト・センター向けシステムを手がける日本アスペクト・ソフトウェアは9月19日,事業戦略を説明する記者会見を開いた。同会見で小枝逸人社長は,新製品「Aspect Unified IP」(旧製品名:EnsemblePro)を2007年中に発売することに合わせて日本市場に本格参入すると表明した(写真)。

 日本アスペクト・ソフトウェアは,米アスペクト・ソフトウェアの日本法人。アスペクト米国法人は,米アバイアや米ジェネシス・テクノロジーと並ぶコンタクト・センター製品の大手だが,日本市場ではこれまで影が薄かった。

 市場を開拓するために小枝社長は,ブランド力の向上,営業力の強化,サービス力の拡張という三つの戦略を掲げた。営業力の強化であれば,ユーザー企業への営業活動を販売代理店に任せっ放しにはせず,アスペクト自身も直接営業に出向くなどの施策に取り組むという。「企業統合によってシステムの見直しを進めているメガバンクや,中小企業などに市場開拓の余地が十分ある」(小枝社長)。

 併せて,発売予定のAspect Unified IPの製品戦略も発表した。Aspect Unified IPの特徴は,機能統合型であること。既存のコンタクト・センター向けシステムは一般に,ACD(自動呼分配),IVR(音声自動応答),IP電話サーバーなどの機能ごとに個別に製品を用意する必要があった。また機能によってベンダーの得手不得手があるため,マルチベンダーでシステムを組むことも少なくなかった。その結果,ネットワーク設計が複雑になったり,異なるベンダーの製品間での相互接続性を検証する手間がかかったりすることがあったという。これに対してAspect Unified IPは,1台の装置に複数の機能を統合しているため,こうした手間に煩わされる心配は少ないとする。

 価格については,アジアの発展途上国向けに開発した製品ということもあり,「日本市場では競争力がある」(小枝社長)と自信をみせる。具体的には,中小規模向けのパッケージで約580万円から。国内大手ベンダーが提供する同規模のパッケージよりも割安だとしている。

 また,日本のユーザー企業はコンタクト・センター向けパッケージを大幅にカスタマイズして導入することが多いが,こうしたユーザーの要望に対しても「日本市場固有の機能であっても柔軟に応じていく」(小枝社長)と,前向きな姿勢を示した。