「猫の司書さん」の画面
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「猫の司書さん」管理者向け画面
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「猫の司書さん」を作った岐阜県立東濃実業高校コンピュータ部のみなさん
「猫の司書さん」を作った岐阜県立東濃実業高校コンピュータ部のみなさん
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プログラミング・コンテストWebシステムOPCT(Open Programing ContesT)
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ゲーム「迷子の達人」
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オンライン・ロールプレイング・ゲーム「Kights of Kingdom Online」
オンライン・ロールプレイング・ゲーム「Kights of Kingdom Online」
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アクション・パズルゲーム「積祈(つみき)」
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「Web紙芝居 ママと一緒に絵本の時間」
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eラーニング・システム「FE-learnig」
eラーニング・システム「FE-learnig」
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携帯電話向けゲーム「避難」
携帯電話向けゲーム「避難」
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3D RPG「VESTIGE」
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円周率計算分散処理アプリケーション
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審査委員のまつもとゆきひろ氏
審査委員のまつもとゆきひろ氏
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審査委員長の石田晴久氏
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 経済産業省は「第28回 U-20プログラミング・コンテスト」の最終審査結果を発表した。同コンテストは,経済産業省や文部科学省などが共催する情報化月間推進会議が主催する,20歳以下の学生に限定したプログラミング・コンテスト。財団法人 日本情報処理開発協会が事務局を担当している。今年は全国から108作品の応募があった。

 審査委員のまつもとゆきひろ氏は「私が年齢を詐称して応募しても入賞できないかもしれない」と粒のそろった作品の完成度を賞賛。「様々な分野のバラエティに富んだ作品で,選ぶのに苦労した」(石田晴久審査委員長)という審査の結果,最優秀賞には東濃実業高校コンピュータ部の図書館管理Webシステム「猫の司書さん」,優秀賞には大阪府立工業高等専門学校のプログラミング・コンテストWebシステムOPCT(Open Programing ContesT)と,新潟コンピュータ専門学校のチーム「マイケルソフト社」のゲーム・ソフト「迷子の達人」が選ばれた。

「非の打ち所のない完成度」

 最優秀賞を受賞した「猫の司書さん」は岐阜県立東濃実業高校ビジネス情報科3年,コンピュータ部の秋山貴俊氏,岩村勇太氏,野村将也氏,小栗しほ氏,加納愛美氏が開発した,PHP,MySQLによるWebシステム。可愛らしい猫がアニメーションで動く画面が目を引くが,中身は実用的で機能豊富なシステムである。司書の先生にヒアリングし,業務分析も行い,綿密な設計ドキュメントも作成している。図書の返却が遅れた人にメールで督促したり,バーコードを読んで蔵書管理を管理したり,予約した図書が入庫したら通知したり,メール・マガジンを発行したりといった機能も備えている。「非の打ち所のない完成度の高い作品」(審査講評)。司書の先生もぜひ使いたいと言っており,今後実際に図書室で使われそうだという。

リアルタイムでコンパイルするプログラミング・コンテストWeb

 大阪府立工業高等専門学校3年の浜田悠樹氏,岩見宏明氏,三坂大地氏が開発したOPCTは,ログラミングの問題を投稿し,回答,添削や採点もできるWebシステムだ。解答したソースは、リアルタイムコンパイル機能ですぐに結果が表示されるなど「よく作りこまれており、技術力も高く評価できる」(審査講評)。実はOPCT開発チームは,パソコン甲子園出場のため9月1日に行われた最終審査会を欠席,ビデオでのプレゼンテーションとなった。しかしビデオを通してもプログラミングが好きなことが伝わってくる発表で,優秀賞を獲得した。

重力の方向が変わる迷路ゲーム

 新潟コンピュータ専門学校ゲームクリエータ科2年の前川翔太氏と齋藤あゆみ氏のチーム「マイケルソフト社」が開発した「迷子の達人」は,マウスでキャラクターを誘導して迷路のゴールさせるゲーム。特徴は,重力の方向を変えることができまること。重力の方向が変化すると可動ブロックが重力の方向に“落下”し,迷路の形が変わるというユニークなアイデアを盛り込んだ。「年齢を問わずやってみたいと思わせる,魅力がある作品に仕上がっている」(審査講評)。

TCPとUDPの使い分などでリアルタイム性を追求

 そのほか,団体部門からは4作品が入賞作品に選ばれた。

 静岡産業技術専門学校ゲームクリエイト科の2007年3月の卒業生大塚雅斗氏,川田陽二郎氏,田中宏征氏,笹間大裕氏,蓬田壮馬氏らのチーム「Disaster」の作品はオンライン・マルチプレイヤー・アクション・ロールプレイング・ゲーム「Kights of Kingdom Online」。学生の作品とは思えない3Dグラフィックス。オンラインでの性能を上げるため,TCPとUDPを使い分けたり,ズレを少なくするために,パケットを小さくし,送信回数を減らすなどの工夫をした。

摩擦係数を調節

 新潟コンピュータ専門学校プログラムクリエータ科 小林拓史 伊藤航氏,小出実央らのチーム「水出し紅茶」は,ゲーム「積祈(つみき)」を開発した。3次元グラフィックスで上から落ちてくる積み木を積み上げ高さを競うゲームで,対戦もできる。うまく載せないと,重心が偏ると台が傾き積み木が落ちてしまう。物理シミュレーションを行っており,最適な難易度を実現するため,摩擦係数を調節したという。

「ママだけでなくジジも遊びたい」と石田審査委員長

 真岡コンピュータ・カレッジOA科 高根沢智美氏,鈴木朋之氏,堀江隆祥氏,阿久津敬弘氏,竹永有希氏らのチーム「たかねっち」の作品はFlashによる絵本再生ツール「Web紙芝居 ママと一緒に絵本の時間」だ。Web紙芝居はテキストを音声変換して昔話を読み上げてくれる。実際に人が読んだ音声ファイルを再生することも可能だ。Web版のほか,ダウンロードして実行できるバージョンもある。また包丁を桃にドラッグ&ドロップすると桃太郎が生まれる,といったインタラクティブ性を持たせる機能もある。

 このツールは,誰でも遊べるよう公開する予定だという。石田晴久審査委員長からは「ママだけでなく,私のようなジジやババと一緒に遊ぶこともあるので,ぜひ題名は考慮してほしい」というリクエストもあった。

成績をグラフ化,講義動画を配信

 専門学校静岡電子情報カレッジの2007年3月の卒業生安田和人士,阿部佳史氏,藤田和史氏,山本晃輝氏,渡辺泰洋氏の差気品はeラーニング・システム「FE-learnig」。PHP,MySQL,Linuxで作成したWebシステムで,問題を登録したり回答したりできる。分野別の成績をグラフ化して学習に役立てたり,講義動画を配信したりすることができる。

子供や老人など動きのアルゴリズムを工夫

 個人部門は3作品が入賞した。

 新潟コンピュータ専門学校 ゲームシステム科3年 中村吉一氏は,携帯電話向けのゲーム「避難」で応募した。建物の中の人を誘導して脱出させるゲームだ。震災に見舞われた新潟。そこで避難訓練にも役立つものをということから発想したという。大人はランダムに動く,子供は近くの大人に突いて歩く,など人物の動きをシミュレーションするアルゴリズムを工夫した。

1人で8カ月をかけて完成

 中学生が一人で作った3D CGによるRPGが,高浜市立高浜中学校3年の貞本陶太氏の作品「VESTIGE」だ。ストーリー,プログラミング,3次元グラフィックスまで一人でこなした。敵のキャラクターは約30体,約8カ月をかけて完成させたという。ゲーム開発言語HSP(Hot Soup Processor)で開発している。

「数学は苦手だったけど」

 分散処理によるグリッド・システムを作ったのが情報科学専門学校ネットワークシステム科3年の飯島諒亮氏。モンテカルロ法により円周率計算分散処理アプリケーションを作成した。Javaで開発,学校の教室で30台のマシンで動かしてみたという。「数学が苦手だったが,本を見ながらワンステップずつ作り,なんとか完成した」とのこと。

21世紀のプログラムは君たちが作る

 最終審査会は9月1日に行われた。審査会の講評では,審査委員から「これからもプログラミングを楽しんでほしい。Happy Hacking!」(産業技術総合研究所 自由ソフトウエア武門長でNPOフリーソフトウエアイニシアティブ理事長 g新部裕氏),「21世紀のプログラムは君たちが作る」(ミラクル・リナックス 取締役最高技術責任者 吉岡弘隆氏)など,期待と励ましの言葉が寄せられた。

◎関連資料
平成19年度 U-20プログラミング・コンテスト入選作品の表彰(PDF)

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