東京都は9月14日、昨年4月に導入した複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた新たな公会計制度に基づく財務諸表を公表した。東京都では、複式簿記・発生主義に対応した財務会計システムを全国の自治体で初めて採用、今回はこのシステムにより財務諸表を作成した。都では「複式簿記・発生主義による本格的な財務諸表は、日本の行政として初」としている。

 合わせて、東京都の石原慎太郎都知事はコメントを発表。「行政の基本である財政を冷静に見つめ、客観的に比較する方程式なしには、官僚支配体制を打破し、真の改革を実行することはできない。その重要な手立ての一つが、会計制度の合理化による財政の透明化、すなわち複式簿記・発生主義の本格的な導入である」「今後、東京から日本を変えるため、“東京発の新たな公会計”を積極的に全国に発信していきたい」としている。

 総務省では昨年8月、複式簿記・発生主義会計による財務4表の整備を求める事務次官通知を各自治体に発出しており、人口3万人以上は2009年度までに前年度分の4表の整備、または4表作成に必要な情報の開示に取り組むこととなっており、各自治体とも具体的な対応を進め始めている。総務省が示している方式は「総務省方式改訂モデル」「基準モデル」の二つで、自治体にはいずれかの方式での整備を求めているが、東京都が公表した財務諸表はいずれの方式とも異なる。

 このように複数の方式が並立している状況に対しては、今年6月に全国知事会が総務省に提出した文書「新たな地方公会計制度における会計基準の整備について」の中で「複式簿記・発生主義に基づく会計制度を導入するに当たっては、全国標準的な会計基準が整備されるべきである」という要望を出している。