欧州司法裁判所の第一審裁判所は,米Microsoftの欧州連合(EU)競争法違反について,約4億9700万ユーロの制裁金を科した欧州委員会(EC)の決定を支持し,同社の申し立てを棄却した。ECがベルギーで現地時間9月17日に明らかにしたもの。

 ECは,Microsoftが欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用し,サーバーOSやメディア・プレーヤの販売に関してEU競争法に違反したとして,4億9720万ユーロの罰金支払いを含む是正措置を2004年3月に決定。競合他社の製品がWindows搭載パソコンやサーバー上で完全な互換性を確保できるようWindowsのインタフェース情報を開示するなどの業務改善を求めた(関連記事:ECが対米Microsoftの制裁措置を正式発表,罰金4億9720万ユーロ)。Microsoftは同年6月,是正内容を不服として第一審裁判所に提訴していた(関連記事:米Microsoft,競争法違反をめぐるECの決定を不服として提訴)。

 ECによると,裁判所は「ECの是正命令が技術革新に大きいなマイナス影響を与えるとする主張をMicrosoftが証明できなかった」と結論づけたという。

今回の判断を受け,ECは「Microsoftは法的義務に完全に従い,反競争的行為から手を引くべきである。当委員会は,同社が迅速に是正義務を果たすよう全力を尽くす」と述べた。

 一方Microsoftは,「裁判所の判決文にまだ詳しく目を通していない」とした上で,「まず長期にわたってこの問題を客観的かつ詳細に検討してくれた裁判所に感謝する」と述べた。さらに,「当社はECの是正条件を満たすために多くの改善を行ってきた。今回の判決に応じるために新たなステップが必要であれば,そのように行動する」(同社上級副社長兼法務顧問のBrad Smith氏)と付け加えた。

[発表資料(ECのプレスリリース)]
[発表資料(Microsoftのプレスリリース)]